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夢への挑戦と長男としての務め、どちらを取ればいいですか?【お悩み相談室】

キャリア 2020.02.28

私たちは、日々の生活の中でいろいろなことを思い、考えています。

あなたの人生は、最終的にあなたが考えて決断することが欠かせません。

でも、もし一人で考えるのに疲れてしまったら、その道の専門家から意見を聞いてみませんか?

 

「キャリアの海」では、生き方・働き方に悩む読者の方からお悩みを募り、その道の専門家に記事で回答していただく「お悩み相談室」をはじめます。

今回はその1回目、夢にもう一度チャレンジすべきか悩んでいる社会人2年目からの相談に、臨床心理士の玉川真里さんが答えます

今回のお悩み

今回お悩みをお寄せいただいたのは20代の男性。

叶えてみたい理想と、長男としての現実との狭間で揺れているようです。

社会人2年目です。

現在遠くないうちに転職を考えています。

新卒の頃はエンタメ業界に憧れていました。

残念ながら夢は叶わず現在IT企業で働いていますが、どうしてもあと一度だけチャレンジをしてみたいです。

しかし実家の祖父が倒れ、長男として故郷の家族を支えたいという気持ちもあります。

いろいろな思いが浮かんでは消え、どうしても気持ちも塞いでしまいます。

自分自身と向き合うための方法を教えてください。

(20代・男性)

 

回答していただいた専門家

臨床心理士・玉川真里さん

元自衛隊の臨床心理士。アルコール依存症の父と、自殺未遂をする母のもとに育つ。
自分の身を守る強さを求め、1991年に陸上自衛隊に入隊。2008年、陸上自衛隊において現場初の臨床心理士として、最も自殺率の高い職業といわれる自衛隊の自殺予防対策を任される。
「災害・事件・事故に対する心の危機管理分野」では日本で数少ない有識者の一人として活躍し、自衛隊、海上保安大学校などの講演の他、企業の安全大会などで延べ100件以上の講演実績をもつ。
クライアントからの信頼も厚く、年間延べ2000件を超える相談を受けており、累計では3万人以上の人たちの心を解放してきた。

 

「テーブル広げ」で思考を整理する

この相談を寄せてくださった方が、はじめに取り組んだほうが良いことは何でしょうか?

まずは、自分の中にある考えを整理していくところからはじめましょう。

相談者さんは、いろいろなことを考えられる方なのですね。素晴らしいと思います。

だからこそ、一度「テーブル広げ」という方法でシンプルに考えを整理してみることが大切です。

 

自分がやりたいと思うことを、ノートや付箋につらつらと書き出してみましょう。

やりたいと思っていて「絶対にできない」と言えないことであれば何でもOKです。周りの目は一切考えずに、とにかく書き出していきます。

 

一通り書き出すことができたら、「やりたいこと」に順位付けをしていきましょう。

 

優先順位をつける時のコツはありますか?

やっていてドキドキ・ワクワクするもの」から順位を付けてみると良いですよ。

今回の相談者さんの例では、

  • ドキドキ・ワクワクすること=エンタメ業界で働くこと
  • ドキドキ・ワクワクではないもの=長男として家族の面倒をみること

となります。

「こうしなきゃいけない」という意識は不要です。自分の中にある欲求をそのまま出して、優先順位を付けましょう。

 

決めつけの枠を外してワクワクを優先させる

ドキドキ・ワクワクを最優先に……簡単に見えて意外と難しくないですか?

確かに、日本人的な規範意識が強いと、少し大変かもしれませんね。

規範や今あるものを前提にして考えてしまう……という傾向が日本人には強いようです。

 

ほとんどの人が、今ある人脈や財力・身分で「自分は無理だ」って勝手に決めつけて枠をつけてしまっているのですが、枠なんてものはありません

意外にできないことはないと思いますよ。

 

私は、いじめられっ子で友達付き合いもうまくいかず、「あなたには無理!」と言われたこともありました。

でも、「やりたいことはやってみれば良いじゃないか」と、思いついた時にとにかくいろいろ手当たり次第にやってみるようにしていました

そして、今では議員をやらせてもらっていますし、自分の本を書くこともできています。

あなたが「やりたい」って思えば活路はどこにでもあると思います。あとは「やりたい」と思うかどうかです。

 

「バックキャスティング」で計画を立てよう

優先順位を付けたら、次は何を考えていけばいいのでしょうか?

最優先でやりたいことの計画を「バックキャスティング」で立てていきましょう

「バックキャスティング」という言葉を初めて目にした方もいらっしゃるかもしれません。

やりたいことから逆算して、大きな枠から小さい枠へやることを考えていく、この発想法をバックキャスティングといいます

 

例えば、私には「臨床心理士になりたい」という夢がありました。

ここからバックキャスティングでやることを考えていくと、以下のようになります。

夢:臨床心理士になりたい
→どういう事が必要?
→臨床心理士養成大学院を出る必要がある
→ということは、大学院に入学しなければ…
→今すぐ入れる大学は…放送大学があるな
→では、放送大学の願書を取り寄せよう

ここまで具体的にできれば、あとは実際に願書を取り寄せるだけですよね。

このように、できるだけ具体的なところまで考えていくのがポイントです

 

新しいことは「行動実験」だと捉える

いざ新しいことを始めようとすると、どうしても不安な気持ちが強くなってしまいます……。

こういった場合にはどうすればいいのでしょうか?

いろんなことを行動実験」だと思ってやってみると良いと思いますよ。

先ほど、「やりたいことはどんどんやってみる」というお話をしました。

とはいっても、実際に行動しようとすると緊張してしまい、不安が止まらなくなる方もいらっしゃるかもしれません。

 

そんな方には、何事も「行動実験」だと思って取り組んでみることをおすすめします

実験には失敗がつきものです。もし上手くいかないことがあっても、「これは実験だから」と思えば気が楽になると思います

もちろん、試してみて上手くいけばこれ以上嬉しいことはありませんよね。

 

最後に、重要なポイントをお伝えします。

新しいことを続けるときには「振り返り」の時間を大切にしましょう。

行動してみて上手くいかないことがあったときに、

  • 「これがこうだったのが良くなかったと思うから、次はこのようにしてみよう」
  • 「ここはこれ以上やっても上手くいかなさそう。別のことをやってみよう」

という振り返りが、次の行動へ気持ちを切り替えていくことにつながります。

 

いろいろなことをモヤモヤと考えてしまうかもしれませんが、相談者さんの「ワクワク!」を大切に、夢に向かって歩んでみてくださいね


 

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