topTOP 寄稿 「好きなこと」を「食べていけること」に紐づける方法

「好きなこと」を「食べていけること」に紐づける方法

寄稿 2019.11.15

自分の「好きなこと」に食べていけるポテンシャルがあるかどうかって、考えたことありますか?

どうも、しんざきです。ここしばらく若干仕事に余裕があったんですが、ぼちぼちまた忙しくなり始めていまして、正直戦々恐々としています。皆さん過労と熱中症にはくれぐれも気を付けましょう。

好きなことの需給バランス

「好きなことで食べていく」についての話をします。

皆さん、今自分が就いている仕事について、「このままこの仕事続けてていいのかな…」って思ったこと、ありませんか?

もしかするともっと向いている仕事があるんじゃないかとか、他の道で食べていった方がいいんじゃないかとか思いませんか?

そういう疑問というか、感覚を持つのは当たり前のことでして、自分の仕事について「これが俺の天職だ!」なんて言い切れる人は、いないとは言いませんが、まあ相当に希少なことは間違いありません。

「このままこの仕事していていいんか?」というのは案外大事な問いでして、時にはそこからキャリアの道筋が見えてくることも、スキルアップの方向性が見えてくることもあります。

私ももうエンジニア始めて20年近く経って中間管理職にまでなってますけど、未だに週に2,3回は転職考えますからね。自分の来た方行く末を考えるのは全く悪いことではなく、「人生これ五月病」の精神が重要です。

ただ、他の道で食べていくことを検討する際、「自分の好きなことで食べていくことは出来ないかな?」と考える場合、一応これは検討しておいた方がいいかも知れない、という話をちょっとさせて頂きます。

それは、一言でいうと、「好きなことの需給バランス」という話です。

***

 

「古代メルメポケ帝国」と「好きなことで食べていくための戦略」

当たり前ですが、世の中には需要と供給というものがありまして、欲しい人が多ければ多い程、売る人が少なければ少ない程、品物の値段は高くなる傾向があります。どこにでもある石ころを高く買う人はいない一方、皆が欲しがる美しいダイヤは供給も少なく高値が付きます。

で、これは、「稼ぐ道」についてもある程度同じことが言えます。希少価値が高いスキルを持っている人、引く手あまたの職種についている人は、いずれも収入が高く稼ぎやすい傾向がある一方、希少価値があるスキルを持っていないとなかなか収入は上がりにくい。

勿論「そういう傾向がある」という話であって例外がない訳ではないんですが、まあ基本的には、収入の多寡には需要と供給の原則が強く反映されます。

さて、あなたが仮に、「自分の好きなことで食べていきたい」と思ったとしましょう。

この時、一つ考えておいた方がいいこととして、自分の「好きなこと」の希少価値はどの程度か?という問題があります。

つまり、あなたの「好きなこと」は、他の誰かも「好きなこと」じゃないか、と。自分が好きなことを同じように好きな人は、一体どれくらいいるだろう、と。

もしかするとこれを書くと色んな人に怒られるかも知れないんですが一つ直面しなくてはいけない現実として、「好きなことで食べていく為には、何かしらの「食べていける」要素と戦略が必要」ということがあります。

 

例えばの話、ゲームが好きな人、ゲームの実況動画が好きな人というのはものすごーーくたくさんいます。当然のことながら、その供給者もプロアマ問わずたーーくさんいます。

レッドオーシャンで生きていく為には、それなりの努力と戦略が必要です。他の数限りない供給など問題にならないくらい面白いのか?配信数がやたら多くて、とにかく数で稼げるのか?着眼点が鋭くて、抜きんでた注目を集められるのか?

つまり、「供給が多いもので食っていく為の戦略」というものを考えないといけません。

あるいは、あなたが非常にライバルが少ない、かなり特殊な「好きなこと」の持ち主であったとします。

あまり適切な例が思い浮かばないんですが、例えばあなたが古代メルメポケ帝国(今考えた適当な名前であって実在しません)の歴史に惚れこんでいて、メルメポケ史に携わる世界でただ一人の研究者だったとしましょう。

この場合、あなたの「好きなこと」の希少性は文句なしなんですが、一方「需要の多寡」という問題を忘れるわけにはいきません。

古代メルメポケ帝国に興味を持っている人が本当に世界にあなた一人だったとしたら、あなたの「メルメポケの隆盛と落日」という著作を買う人の数も多くはないでしょう。ことによっては、折角の知識を詰め込んで、ついにamazonで発売にこぎつけても二年くらい一件もレビューがつかない、ということにもなりかねません。

つまり、「需要がないもので食っていく為の作戦」というものを考えないといけません。

好きなことで食っていく際には、「需要と供給」の原則を忘れない方が良いという話を、最初にしてくれない人は案外多いです。勿論のこと、「飛び込んでみたら案外何とかなりました」という例はままありますし、それを承知の上で「その世界に飛び込む」という判断をするのであれば、それを止める権利はこの世の誰にもありません。

Just do it、「まずやってみろ」という考え方も、それはそれで正しいでしょう。

ただ、一方で、「やるならやるで、一応リスクと実現性は考えておいた方がいいよね」というのも、それはそれで正しいんじゃないか、と私は思うんです。

***

 

抽象化して、生きていけそうなフィールドに上手く当てはめる

ところで、この「好きなことの希少性」という問題を逆手にとる戦略というものが一応あります。

それは、

自分の「好きなこと」をある程度抽象化する
それを、元々の「生きていけそうなフィールド」に上手く当てはめる

という戦略です。「好きなことで生きていくのが難しいなら、自分の「好きなこと」で、生きていけそうな仕事を侵略しちゃえばいいじゃん戦略」ともいいます。

 

例えば、同じ「ゲームが好き」であっても、その根っこをたどると、案外普遍的なスキルにたどり着いたりします。

例えば「シューティングゲームが好き」なら、「どこが好きなのか?」と考えるわけです。

敵の動きをパターン化して、ひたすら弾避けをしまくるのが好きなのか。

自分の行動を最適化していって、どんどん目標のスコアに近づけていくのが好きなのか。

ひたすらデータを取って、最適な戦略を考えるのが好きなのか。

で、こういう「突き詰め」で、結果的に「自分の普遍的な得意分野がどこなのか」という話にたどり着く場合は結構あるんですよね。レッドオーシャンで戦うのと違って、元々の自分のフィールドの中で強みを発揮する話なので、絶対値としての希少価値が必要ないんです。

「得意分野」を見つけることが出来れば、今度は「じゃあそれを自分の武器にするにはどうすればいいか?」ということを考えることが出来るようになります。言ってみれば「仕事」のゲーム化です。

例えばの話、しんざきはダライアス外伝というシューティングゲームをこよなく愛しているのですが、中でも何が好きって「自分の動きの最適化」が一番好きです。目標を設定して、その為のルートを複数想定して、そのルートに適合するようにどんどん自分の操作を最適化していく。これが好きで好きで、一時期人生の合間ではなくダライアス外伝の間に人生をやっていました。

で、仕事をしている時、それと同じアプローチ、同じスタンスで臨める状況、そういうスタンスで上手く運べる場面って結構あるんですね。「あ!これ進研ゼミでやったヤツだ!」みたいな話でして、例えばシステム開発の話で言うと、

・あるモジュールを作る際の、自分の普段の設計のアプローチを図式化する
・決まった目標を達成する為の「理想のコース」を検討する
・「理想のコース」と「自分のアプローチ」の差分を考える
・その間を埋める為の行動を考える

みたいな順番で「最適化」を考えていくと、この進め方って昔ハイスコア狙いをしていた頃の自分の行動とそっくり同じなんですよ。「仕事ってゲームじゃん」と気付く瞬間です。

上の話は単なる例です。実際にはもっともっと色んなバリエーションがあるでしょうし、活かしやすいスキルもあれば活かしにくいスキルもあるでしょうが、自分の得意分野を見つける際、仕事と何の関係もない、「好き」から抽出してみるというのは、結構普遍的な勝利パターンです。

これは、そういう勝利パターンを見つける為に、色んな「好き」を見つけておきましょう、という話でもあります。

全く思いも寄らない「好き」から、生きていく為の武器が抽出出来るケースは、全く珍しくありません。「好き」というのは一種のトレジャーボックス、プレミアムガチャでして、たくさんあればある程、いいアイテムが出る可能性は高まります。

仕事の方を「好きなこと」に無理やり引き寄せるというアプローチもありますよ、その為の「好きなことガチャ」を一杯引きましょうと、そんな話な訳です。

***

 

ということで、長々書いて参りました。

最後に私が言いたいことを簡単にまとめてみますと、

仕事をする上では、需要と供給のバランスという話は頭に入れておいた方がいい
・「好きなことで生きていく」際にも需給バランスの考え方は重要
一方、「生きていけそうな仕事」に無理やり「好きなこと」を当てはめる、「好きなこと」の方に仕事を引き寄せる、という考え方もある
・どっちにせよ、「好き」は多ければ多い程ルートが増えてお得ですよね
ところで、自分で書いておいて「メルメポケの隆盛と落日」の内容が結構真剣に気になるので誰か書いてください

という感じになるわけです。よろしくお願いします。

なんなんでしょうね、メルメポケ帝国。火星辺りにでもあるんでしょうか。

今日書きたいことはそれくらいです。

 

 

→しんざきさんの別の寄稿記事はコチラ

「根拠があろうがなかろうが、『自分の得意分野・守備範囲』をアピールして軸足にしてしまった方が勝ち、という話」

pagetop