転職面接の長所・短所の答え方を徹底解説!就活と同じ対策だとNGな理由も
転職の面接では、長所と短所を質問されることが少なくありません。
面接官の質問の意図に沿った回答をすれば評価が上がる一方、意図に沿わない回答をしてしまうと、一気に評価が下がる可能性も……。
今回は、20代で2回転職してきた筆者の経験をもとに、長所と短所を伝えるときに必ず押さえたいポイントを紹介します!
就活と同じ意識で長所と短所を考えるとNGな理由もお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
転職面接で長所・短所を聞かれる理由
面接では、どうして長所と短所を聞かれるのでしょうか?
結論からいうと、面接官は以下の2つを確かめるために、長所と短所について質問します。
面接官が長所・短所を確かめる理由
- 仕事の適性があるか確認するため
- 自己分析ができているか確認するため
それぞれ詳しくみていきます。
仕事の適性があるか確認するため
面接官が長所と短所を聞く理由の1つは、「仕事の適性があるか確認するため」です。
面接官は、採用の際、入社後のミスマッチがなく、長期で活躍できる人物であるか、あらゆる角度で転職者を見ようとします。
「適材適所」という言葉があるとおり、転職者強みや長所が、志望する職種に活かせるかどうか、企業の社風に合うかどうか、転職者の適性や適応力を見抜きたいと考えているのです。
「適材適所」という言葉があるとおり、その社員が向いている仕事をやらせたほうが、パフォーマンス高く仕事をしてくれる、つまり会社にとって利益があると考えるからです。
また、「自己分析ができているか確認するため」といった目的でも、長所と短所は質問されます。
自己分析ができているか確認するため
面接では、転職者の人柄やスキルがさまざまな質問で確認されます。
なぜなら、面接は応募書類ではわからない転職者のヒューマンスキルを唯一確認できる場だからです。
そして、面接の受け答えや回答内容から、面接官はその人の性格や本質、人間性を確かめています。
長所と短所の質問は、自分を客観的に自己分析できているかなどを判断することができる質問なのです。
客観的に自己分析ができている人は、自分の強みを仕事にどのように活かすか、自発的に考え、取り入れることができる人と評価されるでしょう。
また自分の欠点を課題として認識し、自分で克服するための対策を打てるか、改善の努力をしているかを見ることができるのです。
長所を考えるときのポイント
面接でどんな長所を伝えれば良いのだろうか?と悩んだときは、「応募する仕事に必要なチカラは何か」を考えてみてください。
中途採用は、新卒での就活とちがい、「即戦力」が求められます。
つまり、仕事で成果を上げるスキルがあることはもちろん、その仕事の適性があるかも非常に大切です。
そこで、以下の順番で長所を考えることがおすすめです。
長所を考える際のプロセス
- 1. 転職先が求めている人物像の長所を把握する
- 2. その長所が自分の経験から言えるか?を考える
また、転職で伝えるべき長所は、「ポータブルスキル」であることも押さえておきましょう。
長所は「ポータブルスキル」を伝える
ポータブルスキルとは、「環境や仕事が変わっても使える、持ち運び可能なスキル」のことです。
ポータブルスキルは「仕事のし方」と「人とのかかわり方」で構成されています。
具体的な内容を以下の表で見ていきましょう。
画像出典:一般社団法人 人材サービス産業協議会
たとえば、営業職をしていた人が未経験のマーケティング職に挑戦する場合、今までの営業の専門知識はマーケティング職に活かすことができません。
しかし、「緻密に仕事を遂行するチカラ」を長所として伝えるならば、マーケティング職として活かせると面接官から判断されます。
マーケティング職は「分析能力」が必要な仕事である以上、「緻密さ」は非常に大切な資質だからです。
この場合の「緻密に仕事を遂行するチカラ」がポータブルスキルとよばれます。
転職は、環境が変わり、前職と同じ仕事が100%できないため、“前職だけで使えたチカラ” は使えない可能性があります。
そのため、面接では転職先でも使える長所、つまりポータブルスキルを伝えることが重要といえます。
応募する職種にどんなポータブルスキルが必要かを調べるには、「ポータブルスキル セルフチェック」というサイトが参考になります。
私の経験からも、営業職と事務職に求められる長所(ポータブルスキル)をお伝えします。
営業職経験で身に着けたポータブルスキル例
私は営業職の経験から、伝えるべき長所にポータブルスキルとなる「計画力」を選択しました。
ノルマを達成することが求められる営業職の場合、達成までの道筋を決めるのは個人次第です。
個人の裁量が大きいぶん、仕事の進め方をしっかり決め、自分を律しつつ行動することが重要になります。
私は、転職エージェントで働いていたとき、四半期ごとにノルマがありました。
そのため、「3か月後のノルマを達成するために、2か月後までに見込み客を20人増やしておく」といったような計画を立て、ときに修正しつつ行動していました。
営業職志望の方が長所を伝える場合、「行動力」や「コミュニケーション力」を伝えてしまいがちです。
たしかに大切なチカラではありますが、「もっていて当たり前」と判断され、アピールにつながらない可能性が高いと考えました。
そこで「計画性がある」という長所を伝え、他の応募者との違いをアピールすることを試みました。
また、財務部で仕事をしていた経験から、事務職経験で身に着けたポータブルスキル例もお伝えします。
事務職経験から得られた長所の例
私は事務職経験から、「調整力」を身に着けました。
これもポータブルスキルとなり、他の事務職応募者と差をつけることができる長所の一例となります。
私は、財務部で会社の投資計画の策定をおこなっていましたが、ほかの部署とのやり取りが非常に多くありました。
部署から提出される投資計画を全社の予算と照らし合わせ、部署の部長と交渉するといったことは日常茶飯事。
事務職はパソコンに向かって作業するイメージをもっていたため、様々な人とコミュニケーションをとる機会が多いのは予想外でした。
同様に、人事や総務、法務部といった事務職も関係者との調整業務に追われていたりします。
とくに、営業の部署とは対立することが多く、お互いに予算を譲らないといったことがあります。
そんなときでも、会社としてベストな着地点を目指して、利害調整をすることが事務職の社員に求められます。
事務職の転職を考えている方は、「調整力」を長所として伝えると、「事務職として大切なことがわかっているな」と面接官から評価されるでしょう。





監修者のワンポイントアドセンス
今までの転職市場では即戦力=専門知識や専門技術として重要視されていましたが、昨今は業種や職種を超えて優秀な人を採用したいという労働市場の変化が出てきました。
その結果、企業側もこの「ポータブルスキル」の重要性を認識し、採用したい人物像を修正してきています。
企業も注目しているこの「ポータブルスキル」をアピールしない手はありません。
また転職者にとっても、上記のポータブルスキルの表を見てみるとどうでしょうか?
「仕事の仕方」や「人とのかかわり方」の切り口で、自分自身を見つめなおしてみてください。例えば、「人とのかかわり方」で自分を振り返ってみましょう。
「社内対応で自分は何をしていたか」、「社外に対してはどのような対応をしていたか」、「チーム内では何を心掛けていたか」と自分の仕事に対する姿勢を振り返ってみると、自分の長所を見つけるヒントになるのではないでしょうか。
短所を考えるときのポイント
「長所は答えられるけど、短所は何を伝えれば良いのだろう?」と悩む方は少なくありません。
私が転職エージェントでサポートしていた転職者の方からも、「マイナス評価にならないように短所を伝えるにはどうしたらいいですか?」といった質問を度々受けました。
そこで私は、以下の2つを意識するように伝えていました。
マイナス評価にならない短所の伝え方は?
- 短所は、長所を言い換える
- どのように改善し、行動を変えているかを伝える
それぞれ、解説します。
短所は、長所を言い換える
「自分の短所はなんだろう?」と迷っている方は、長所を言い換えると短所が見えてきます。
たとえば、「メンバーの声に耳を傾け、チームをまとめるのが得意」といった長所の場合、裏を返すと「一人で抱え込む傾向がある」といった短所が見えてきます。
つまり、長所と短所は表裏一体なのです。
どのように改善し、行動を変えているかを伝える
さきほどの例だと、「一人で抱え込む傾向がある」ということが短所だとわかりました。
この短所にエピソードを加えながら、短所の克服のための努力や、改善のためにどのようなことを心掛けているかなどを伝えることが重要です。
「一人で抱え込む傾向がある」という短所の場合、「チーム内で共有できる問題は、担当を作り、仕事や課題を分担させるようにしている」というように、改善し心掛けている点を加えて答えるようにしましょう。





監修者のワンポイントアドセンス
このように改善のための心がけを盛り込むと、面接官に自分の課題を自覚し、問題解決のために自発的に行動が起こせる人物だと印象付けることができます。
先ほどの「ポータブルスキルの構成要素」の表を見直してみましょう。
この自分の短所の「課題を設定する能力」と「問題解決の実行をする能力」もまたポータブルスキルにつながるのです。
このような回答の仕方をすると、問題への意識と克服のための実行力がある人物として、評価につながっていきます。
営業職志望の場合に伝えたい短所
営業職を志望している方が、短所で何を伝えるか考えてみます。
まず、営業職で求められる長所を考えます。ここでは「計画力」とします。
次に、「計画力」を裏返します。計画は、「先々の予定を細かく立てること」が必要になります。これを裏返すと、「細かく予定を立てすぎるので、柔軟性がない」ともいえます。
つまり、短所は「柔軟性がないこと」となります。
次に、事務職志望の方の短所を考えてみます。
事務職志望の場合に伝えたい短所
まず、事務職で求められる長所を考えます。ここでは「調整力」とします。
次に、「調整力」を裏返します。調整力は「関係者の利害を踏まえること」が必要になります。これを裏返すと、「まわりの顔色を伺いすぎる」ともいえます。
つまり、短所は「まわりの顔色を伺いすぎること」となります。
長所の例文と気をつけること
私が転職の面接で伝えていた長所の答え方をお伝えします。
また、長所を伝える順番も紹介しますので、参考にしてみてください。
営業職に未経験で転職したときの例文(長所)
私が、営業未経験で営業職に転職したときに話していた内容です。
私が実際に話した内容
長所は、戦略を立てることが苦ではないことです。
人事部の新卒採用担当のとき、内定者の辞退をゼロにすることが目標でした。
そこで、面接の評価表の評価項目を細かく設定しなおし、WEBテストの性格診断の結果も活用することで、内定者のパーソナリティを客観的に把握するシートを内定者全員分作成しました。
そして、内定者との面談のときは、そのシートをもとに内定者の性格ごとに沿った対応をし、入社までのモチベーションを上げていました。
結果として内定辞退ゼロに貢献できました。
営業職は、ノルマ達成までの道筋を自分で考えていくことが必要だと感じていますので、効果的な戦略を立てつつ、目標達成にむけて努力し続けていきたいと考えています。
長所を伝える順番
上記の例文は、以下の構成で書かれています。
私が話した内容の構成
- 結論(長所は……)
- 長所を裏付けるエピソード
- 「仕事で活かしていきたい」という意気込み
まず、「長所は何ですか?」と聞かれたら、「長所は……」と結論から伝えます。
次に、その長所を裏付けるエピソードを話します。私の場合、「戦略性」という長所を活かした経験を伝えていました。
最後に、長所を活かしていきたいという意気込みを伝えましょう。
「応募している仕事に必要な長所を理解していますよ」ということも面接官にアピールできます。
長所を伝えるときのNGポイント
長所を伝えるときは、以下の2つに気をつけましょう。
NGな長所の伝え方
- ありきたりの表現で話してしまう
- スキルアピールをしてしまう
それぞれ、説明します。
ありきたりの表現で話してしまう
「コミュニケーション能力がある」「責任感がある」といった、ありきたりな表現を使うと、具体性に欠け、魅力が伝わりにくくなってしまいます。
長所を見つけたら、必ずそれを噛み砕き「どんな場面で、誰に対し、どのようなことをしたのか」エピソードと照らし合わせて、具体的に自分の言葉を見つけていきましょう。
例えば「コミュニケーション能力」であれば、お客様へのクレーム対応能力や、お客様と信頼関係を築く力、またはチーム内をまとめあげる力など、一言にコミュニケーション能力といっても、様々な能力に分解することができます。
エピソードで補強しながら、自分の言葉を使って伝えるとアピールにつながります。
また、長所で「スキル」を伝えてしまう方も少なくありません。
スキルアピールをしてしまう
長所でスキルをアピールしてしまうことも避けましょう。
「連結決算ができる」「エクセル上級」といったことは、スキルであって長所ではありません。
スキルについては、面接のなかで質問されるので、そのときに答えるようにしましょう。
長所の質問でスキルを答えてしまうと、「スキルのことは聞いてないんだけどな……」と面接官が思ってしまい、「質問の意図をくみ取れない人」としてマイナス評価を下されてしまう可能性があります。
短所の例文と気をつけること
私が転職の面接で伝えていた短所の答え方をお伝えします。
また、短所を伝える順番も紹介しますので、参考にしてみてください。
営業職に未経験で転職したときの例文(短所)
私が、営業未経験で営業職に転職したときに話していた内容です。
私が実際に話した内容
短所は、考え過ぎて行動が遅くなってしまうことです。
新卒採用で自社初のインターンシップの企画を考えたとき、ターゲット設定やインターンシップ当日の内容を考え過ぎるあまり、開催が近づいてきたのにコンセプトが決まりきっていないことがありました。
この経験から、とくに初めて取り組むことに関しては、まずは仮決めで進め、行動しながら軌道修正していくようにしています。
短所を伝える順番
上記の例文は、以下の構成で書かれています。
私が話した内容の構成
- 結論(短所は……)
- 失敗した場面
- 改善していることを伝える
まず、「短所はなんですか?」と聞かれたら、「短所は……」と結論から伝えます。
次に、その短所があったために失敗したエピソードを話します。私の場合は、「考え過ぎる」という短所があったことで、インターンシップの企画の進捗が遅れたことを話していました。
最後に、短所を改善しようと取り組んでいることを伝えましょう。
短所を自覚し、改善に向けて行動していることを伝えることで、「自発的な行動ができる人」として面接官から評価されます。
短所を伝えるときのNGポイント
短所を伝えるときは、以下の2つに気をつけましょう。
NGな長所の伝え方
- 「○○が苦手なことです」と伝えてしまう
- 応募職種にとってマイナスな短所を伝えてしまう
それぞれ、説明します。
「○○が苦手なことです」と伝えてしまう
短所を伝えるときは、「○○が苦手なことです」と話さないようにしましょう。
「人前が苦手なことです」「わかりやすい文章を書くのが苦手です」と伝えると、自分の評価を自分で下げてしまうことになります。
「苦手」という言葉のインパクトが大きいこともあり、「仕事に支障が出そうだな」と面接官が感じてしまうからです。
短所を聞かれた場合は、「少し」をつけたり、「〇〇する傾向がある」と回答するなど、短所を強調しすぎない表現を使いましょう。
また、応募職種にとってマイナスな短所を伝えるのも避けたいことです。
応募職種にとってマイナスな短所を伝えてしまう
応募職種にとってマイナスな短所を伝えてしまうと、自分で自分の首を絞めてしまうことになります。
秘書を志望している方で、「自分には調整力がないなぁ……」と思っていても、「調整力がないこと」を短所として伝える必要はありません。
自分の評価と他人からの評価は異なるものですし、応募職種にとってマイナスなこととわかりつつも、素直に短所を伝えることは、文字通りマイナスに働いてしまいます。
長所・短所がわからないときの対策
長所と短所が見つからないと悩んでいる方は、以下の方法を試してみてください。
NGな長所の伝え方
- 上司との面談でフィードバックをもらう
- 転職エージェントの担当者に聞く
ポイントは、第三者からの意見をもらうことです。それぞれ、解説します。
上司との面談でフィードバックをもらう
上司と定期的な面談や評価面談があれば、そのときにこのようなことを聞いてみるのがおすすめです。
もっと成果を上げるために、長所を伸ばしつつ、短所を克服していきたいと思っています。
○○課長からみて、わたしの長所と短所はどういった点だと思われますか?
他にも、自分をよく知る友人や家族に、自分の長所・短所を聞いてみるのも良い方法です。
客観的な意見を聞くことができたり、自分では気づいていなかった一面に気づかされたりすることもあります。
転職エージェントの担当者に聞く
転職エージェントを利用している方は、担当者に聞いてみるのもひとつの手です。
転職エージェントの担当者は、志望している職種に必要な長所や、マイナスになる短所についても詳しく知っています。
「私の長所と短所は何だと思いますか?」と質問するときに、「私が志望している仕事に必要な長所と、マイナスに働く短所は何でしょうか?」といったことも一緒に質問してみると良いでしょう。
ちなみに、志望している職種に求められる長所が自分に見つからなかった場合は、その仕事よりも別の仕事に応募したほうが良い場合もあります。
転職者のなかには、自分にない長所を面接で話す方がいますが、おすすめできません。
「本当にこの長所があるのかな?」と面接官から疑問をもたれる可能性が高いからです。
また、希望する仕事に就けても、仕事で苦労することが多いです。
仕事には向き・不向きがある以上、自分がどれだけ就きたいと思った仕事でも、自分に合わない仕事だと、成果も上がりづらく、モチベーションの維持もできなくなります。
長所に関しては、「応募する仕事に求められる長所が、自分の経験から言えないか?」ということを意識することが大切です。
自分の経験からいえないのに、ムリに長所をつくってしまうと、結果として自分が苦しむことが多いので注意しましょう。
転職の長所と短所は答え方次第で評価が上がる!
転職の面接では、長所と短所を質問されることは“鉄板”です。
面接で質問されることが多いということは、それだけ回答内容から転職者のパーソナリティが判断できる、ということです。
長所と短所の回答内容がかなり重視されている以上、面接前にしっかりとした準備が必要になります。
今回紹介した答え方のポイントを参考にしていただき、面接官に響く長所と短所の答え方ができるように準備しておきましょう。





監修者によるコメント
中途採用は即戦力を求められ、専門スキル重視の傾向はありますが、どの企業も候補者の人間性や本質を見極めたいという思いが非常に強いのです。
長所と短所の質問が、面接で定番の質問になるのもそのためです。
こういった質問には、具体的なエピソードや、仕事に対する考え方、チーム内での自分の役割への考え方、クライアントに対しての考え方、価値観などを、できるだけ具体的に回答中に盛り込むことが重要です。
そうすることで、企業は候補者に共感したり、候補者と自社との共通点を見出したりすることができます。
その「共感」や「共通点」が、「自社で長く活躍できる人材」という評価に結び付きます。