元人材業界営業マンの転職物語
求人広告の提案営業から、SaaS(Software as a Service)のツール営業へと転職しました。
日々成長を実感しながら、やりがいをもって働けていると思います。
体験記を寄せてくれた方
- Aさん
大学卒業後、大手人材紹介会社へ入社。求人広告の営業を経て、現在はBtoB向けSaaSツールの営業マンとして活躍中。
圧倒的に成長できる環境を求めて
転職を考えたきっかけは大きく二つ。
一つは仕事を通じて実感できる成長が小さくなってきたこと。
もう一つは、求人の会社でキャリア形成ができる未来が見えなくなったことです。
新卒で就職した会社はリクルートに次ぐ二番手の人材会社で、全国に支店をもつ大手企業。
同期入社は300名ほどで、多くの同期が “社会を変えたい” とか “圧倒的に成長したい” という熱い想いをもって入社していた気がします。
僕はどちらかと言えば後者で、ファーストキャリアで営業力をつけたいという思いから入社を決め、人材領域の中で最も過酷だと言われていた求人広告の営業を志望しました。
求人広告営業の仕事は、
- テレアポ・飛び込みでアポを取得
- 求人広告のご提案
- 受注後は原稿作成、Web媒体で掲載
- 掲載期間終了後はフォロー
- 効果が出なければ再提案
という流れで進んでいきます。
特定のテリトリー(地域)を割り振られるので、そのエリアで採用をしたいという全てのお客さんがターゲット。
コンビニの店長、キャバクラのオーナー、工場の所長、企業の役員……多種多様な業界やレイヤーの人たちと仕事が出来たのは大きな経験でした。
幸い、上司や周りの方・お客様にも恵まれ営業所では常にトップクラスの成績を上げていたため、所属するには居心地の良い会社でした。
いつまでも「自分を売る」?
ですが、入社して3年も経つと、代わり映えしない仕事内容に成長実感がなくなります。
テリトリーを広げてもらったり、大きなお客さんを任せてもらったり、小規模マネジメントを経験出来たりと影響範囲は広くなりましたが、仕事内容は当然変わりません。
顧客が求人広告を発注する目的は「アルバイトが辞めて店が回らない」のように、欠けた人員を補充したい場合が大部分を占めます。
そんな中で営業から電話がかかってくれば「ちょうどよかった」と言って発注を貰えることも多いため、とにかく顧客に電話をかけることが推奨されます。
「昨日断られても、今日にはバイトがやめているかもしれない、だからもう一度かけてみろ」というようなマネジメントがまかり通るのです。
また、求人広告のビジネスモデルはどこも変わりません。
バイトル・マイナビ・タウンワークなど多くの媒体がありますが、どこに発注しても劇的に成果が変わるものではないのです。
商材で差別化できないため、結果「商品ではなく自分を売れ」というマネジメントがスタンダードになっていきます。
自分を売るには、とにかくお客さんに気に入られ「この人に発注したい」と思ってもらうことが重要です。
そのために車で2時間かかるところに出向いたり、お客さんの趣味や誕生日を覚え、こまめに連絡するなどを徹底していました。
1時間の商談のうち雑談が50分、なんてことはザラでした。
新卒で入社したての頃は、がむしゃらに自分を買ってもらおうと努力をしました。
その結果身に付いたものは多くありましたし、それは今でも自分の財産になっています。
ですが、お客さんが情報をいくらでも調べて意思決定できる時代に、「いつまでも『自分を売れ』などという貧弱なプロダクトが今後伸びていくことはあるのか……」という疑問を抱えていました。
また、セールスマンとしてスキルを高めたいとしても、単一商材を課題が明確な顧客に売っているだけではスキルは伸びません。
「とにかく電話をかけろ」というマネジメントをする上司にもなりたくありませんでした。
転職活動の始まり
一定の営業スキルを備えて、予算達成も当たり前にできるようになりました。
後輩の指導や小規模マネジメントを行うようになりつつも、
「自分のスキルはまだ伸ばせるはずだ」
「このままマネジメントになるのではなく、個人としてスキルを高めていきたい」
という気持ちは強くなっていきました。
転職を意識し始めてからは、すぐに複数の転職エージェントに登録し、話を聞きに行きました。
その過程で職務履歴書が洗練され、自分のやってきた仕事内容や成果について論理的に伝えられるようになった気がします。
そんな中、いちばんお世話になった上司が仲の良かった部下数名を引き連れて独立する……という計画を打ち明けられました。
「お前も一緒に来ないか?」という誘いです。
一から会社を作ること、仲の良い皆と会社をやれることに興味は湧きました。
しかし、実態は求人広告の代理店であり、今の仕事の延長線上であることも目に見えていました。
そんな現状を、先に転職していった僕の「師匠」に相談したところ、ある会社を紹介されました。
それが現職です。
勘と根性の先へ
その会社は、世界で戦えるプロダクトを持ったIT企業でした。
初めてそのツールを見た時の衝撃は今でも覚えており、“これは売れる” と直感が反応しました。
もともとSEOや検索の上位表示のメカニズムに興味を持っていた私は、すぐにその会社が主催するセミナーに潜り込み、話を聞きました。
インサイドセールス、インバウンド、コールドコール、カスタマーサクセス、SaaS……
営業を生業とする私が知らない言葉が次々に登場します。
勘と根性、とにかくお客さんに会いに行くということがスタンダードだった私は、大きな衝撃を受けました。
そのセミナーを経て、自分がいかに外の世界を知らずに閉じ持っていたか思い知り、すぐに選考を受けたい旨を伝えました。
現職での営業経験を評価いただき、すんなりと選考は進み、あっという間に内定を頂くことができました。
ただ、感覚的に決めた分、提示された給与や他の会社との違いなど不明な点が多くありました。
そこで、条件を片手にIT系の人材紹介会社を訪れ、市場感を聞いてみました。
その結果、競合と比較して好待遇だという事がわかり、正式に入社を決めました。
転職して、さらなる成長を実感
入社後はまず実績を積むことに専念しました。
元々自分を売ることを徹底的に磨いてきた甲斐もあり、お客さんと打ち解けることは苦労しませんでしたが、当初は商材特性に大きな苦労をしました。
BtoCに近い業態から、BtoB営業に転職したことによる苦労です。
前職と違い、対峙している発注者と仲良くなるだけでは契約はもらえません。
先方の利害関係者、会社の抱えている課題を把握し、「それを解決する手段としてうちの商品が優れている」というプレゼンをしなければならないのです。
前職で扱っていた求人広告は、人手不足や店が回らないといった目に見える課題が多く、それを解決する手段として求人広告を買うシンプルなモデルでした。
しかし、現職ではお客さん自身が課題を感じていないケースが多く存在するため、適切なヒアリングと質問によって課題を認識させ、「解決したい」と思ってもらうプロセスが必須なのです。
こういった難しさはありましたが、日々成長を実感しています。
- 固定のプロダクトではなく、営業が現場で商材をプロデュースできること
- 経営者との距離が近く、成熟したビジネスパーソンの仕事ぶりを近くで見れること
- 成果を出しているとより多くの仕事を任せてもらえること
以前は、仕事が増えることを労働時間が増えることだと考えていました。
「短期的には忙しくなるし、給与も増えないから無駄だ」というスタンスでしたが、今は仕事によって得られる経験が自分のスキルや人脈を広げている感覚があります。
中長期観点で物事を考えられるようになったのも大きな変化です。
前職の会社でそのまま働くという選択肢もありましたが、先日自分が扱っていた媒体がサービスを停止したのを見て、「自分の判断は間違っていなかった」と思いました。
上司と独立するという選択肢もありましたが、今の会社には自分よりはるかに成熟したビジネスパーソンが多く、日々学ぶことがたくさんあります。
あの時、易きに流れず自分の信念に従った選択をしてよかったと思っています。
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