「点」だった施策を「線」につなぎ、予約ページへの遷移率が2.3倍!プロ人材とツール活用で実現した戦略的コンテンツマーケティング
株式会社JR東日本びゅうツーリズム&セールス
JR東日本グループの旅行会社であるJR東日本びゅうツーリズム&セールスでは、自社の旅行予約サイト『びゅうトラベル』からの売上を伸ばすため、近年デジタルマーケティングに力を入れており、SEOやコンテンツマーケティングに取り組んでいました。
しかし、一つ一つの施策が場当たり的であることに課題を感じており、売上に直結する施策を戦略的に実行していくために、コンテンツマーケティングにおける全体の戦略設計が必要だと考えていました。また、社内のリソース不足や、それを補うためのメンバーの課題発見力や改善力の向上についても模索していました。
そこで導入いただいたのが「ミエルカコネクト」と「ミエルカSEO」。プロ人材の活用によってマイクロコンバージョン率(MCVR)*2.3倍という高い成果を残すとともに、SEOツールの導入でチーム内での施策立案や改善がしやすくなったとのこと。戦略づくりからコンテンツ制作、内製化までのトータルサポートを受ける同社の取組みについて、ダイナミックレールパック本部 戦略グループの黒澤様、中村様にお話を伺いました。
*マイクロコンバージョン(MCV)とは:
最終的なコンバージョンに至る過程での小さなステップや目標を指し、その達成率をマイクロコンバージョン率(MCVR)と呼びます。主に、特定のページビューやメルマガ登録など、最終的なコンバージョン(購入や契約)に至る前のユーザーの関心やエンゲージメントを示す指標を設定し、これによりWebマーケティングの評価と最適化を行います。
Webマーケティングの重要性が急激に高まり、成果を上げる必要があった
――貴社の事業と商品・サービスの説明をお願いします。
黒澤様:当社の主力事業は、JR東日本を中心とした列車を利用した国内旅行商品の販売です。列車と宿を旅の目的に応じて組み合わせてオリジナル旅行プランが作れる『JR東日本びゅうダイナミックレールパック』をはじめ、幅広いニーズに応える旅行商品を用意しています。
東日本と言いつつも、西は兵庫、北は北海道まで、対象となる旅行エリアが非常に広くなっていて、東京を出発して東北や西日本エリアを旅行する方、反対に東日本方面の地方から首都圏を訪れる方など、様々なお客さまにご利用いただいています。
強みは何と言っても、列車と宿泊がセットになった旅行ブランド「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」の販売です。予約のタイミングなどによっては列車とホテルを別々で予約するよりも費用を抑えられる他、弊社が運営する『びゅうトラベル』からは、1つのサイトで列車と宿泊の両方をまとめて予約できるため、手間が省ける点もメリットになっています。
――コンテンツマーケティングの強化が必要になった背景を教えてください。
黒澤様:当社の旅行商品は、以前はびゅうプラザ(現 駅たびコンシェルジュ)でも扱っていましたが、現在は予約サイト『びゅうトラベル』だけで扱うことになったのが大きな転機です。一部、品川や横浜といった主要駅の駅たびコンシェルジュで商品やWeb予約の操作方法についてアドバイスをしていますが、販売はWebに限っています。それだけに、売上アップにはデジタルマーケティングの強化が欠かせません。
『びゅうトラベル』は旅行商品の予約数に直結するサイトですので、当社にとってこのサイトの集客強化は非常に重要です。そこで、私が自然検索周りと広告領域のSEM*全般を担当、中村がコンテンツの制作を担当し、他チャネルの担当者とも連携しチーム一丸となって取り組んでおります。
*SEMとは:
Search Engine Marketing(検索エンジンマーケティング)の略で、検索エンジンからの訪問者を増やすマーケティング手法の総称。SEOとリスティング広告が含まれ、一般的によく聞くSEOはSearch Engine Optimization(検索エンジン最適化)の略であり、SEMの一部。
中村様:弊社の『びゅうトラベル』のサイトにおけるコンテンツマーケティングでは、各記事のセッション数や、マイクロコンバージョン数を、日々追っています。旅行商品は検討期間が比較的長いため、最終的なコンバージョン(予約申込)の指標だけでなく、その手前の指標となる「予約ページ遷移」「特集ページ遷移」「メルマガ登録」などを、マイクロコンバージョンとして設定し運用しています。
施策が「点」の状態を脱したいものの、戦略設計ができずにいた
――従来からコンテンツマーケティングに力を入れてこられたわけですが、その中でどのような課題があると感じていらっしゃいましたか?
黒澤様:一番の課題として感じていたのは、場当たり的なやり方になっていたことです。コンテンツのタイトルを変更してみたり、簡易的にリライトをしてみたりと、細かなSEO施策は行ってきたのですが、戦略を描けていないことにずっと引っ掛かっていました。
いわば一つ一つのコンテンツを散発しているだけで、点と点がつながっていなかったのです。足りないのは点と点をつないで、線にするための戦略。何とかしようとは思っていたのですが、課題の解決がずっと後回しになっていました。
中村様:Faber Companyさんとのお取組み前に作成した記事について、対策キーワードを決める際にも、将来の顧客を増やそうと潜在層に向けたものや、コンバージョンに近いユーザーに向けたものなど、幅広く対策できるよう意識して取り組んでいましたが、ペルソナを絞り切れておらず、それぞれの記事が独立してしまっていました。一つ一つの記事がどのように売上につながっていくのか、もっと言えば売上目標から逆算してどのように施策を進めていくかまで考えが及ばなかったというのが正直なところです。
黒澤様:そこで、改めて戦略的なコンテンツマーケティングを実施していくべく、知見のあるパートナー企業を探すことにしたのです。以前お取引していたSEO支援会社様はありますが、当時はSEOの内部施策のご提案が中心で、技術寄りのアドバイスやサポートをいただきましたが、残念ながらレギュレーションや技術的な制約の多い弊社のサイトでは対応が難しいことがしばしばありました。そのため今回は、カスタマージャーニーに沿ったコンテンツ作りのための戦略や、コンバージョンまでの導線設計、ページのUI/UX改善も相談できるような企業を求めていました。
戦略設計から施策の実行・内製化まで、一気通貫で伴走してもらえる安心感
――弊社にご相談をいただいた背景を教えてください。
黒澤様:コンサルティングから、記事の執筆までをまとめて外注したいと考え、SEO業界での実績が豊富なFaber Companyさんにご相談しました。
そこで、弊社の予算や社内体制に合ったサービスとしてご提案いただいたのが、「ミエルカコネクト」でした。企業に依頼するより委託費用を抑えながらも、素晴らしいスキルを持った人材による支援を受けられるとのことで、弊社にぴったりだと思い、マーケターさんをご紹介いただきました。
中村様:実際に面談でお会いした際に、オーガニック流入からのコンバージョン獲得に向けて、どの施策をどの順番で進めていくのかをとてもわかりやすく説明いただき、まさに私たちが求めていたコンテンツマーケティングの戦略設計だと感じました。
また、ターゲットの明確化や効果計測のための環境整備など、戦略的に進めるうえで足りていない部分の追加提案もあり、本プロジェクトに伴走いただくディレクターとしてとても信頼をおけました。
戦略設計の段階から相談ができ、そしてそのままコンテンツ制作までもお願いできる点が決め手になりました。
――ミエルカSEOも合わせて導入いただいたのは、どんな理由からでしょうか?
黒澤様:コンテンツマーケティングを進めていく上で、将来的に社内のメンバーでも課題の発見や施策立案から改善を実施できる力を養いたいと考えていたからです。
外部のプロフェッショナルに、戦略設計からコンテンツ制作までサポートいただき、施策を前に進めていくことも重要です。ただ、将来的には自社のメンバーで施策の実施や改善までを進めていけたらと思っていました。自分たちでもコンテンツを作っていくうえで、顧客のニーズを精度高くキャッチできるようになることや、業務の効率化・工数削減を図れるといいなと考えていたのです。
そこでご提案いただいたのが、SEOツール「ミエルカSEO」でした。「ミエルカSEO」は、コンテンツ企画や制作に必要な機能が豊富だったので、これまで社内で試行錯誤しながら取り組んできた検索ニーズの調査などが、もっとうまくできるのではと期待を持てました。
また、検索順位計測や、GA4などと連携した流入数・CV数などのレポート機能もあり、作ったコンテンツに対しての効果検証のためにも、ツールの必要性を感じ、合わせて導入を決めました。
中村様:単に不足するリソースを補うだけでなく、私たち自身もミエルカSEOを利用してリライトを行う方法などを教えていただき、レベルアップさせてもらえる点でも、Faber Companyさんにお願いして良かったと思っています。
これまでのもどかしさを一気に解消する、戦略的なコンテンツマーケティングを実現
――実際のプロジェクトはどのように進んでいったのか、具体的に教えてください。
黒澤様:最初の2か月でコンテンツマーケティングの戦略設計と、モニタリング体制の構築を実施してもらいました。具体的には、以下の5つです。
・ペルソナ設計
・カスタマージャーニー設計
・コンバージョンの設定
・データ取得環境の整備
・キーワード選定
ペルソナは大きく3つのグループ、全7つとしっかりと設定。その上で、カスタマージャーニーマップに沿って細かく作成する記事と達成したいコンバージョンを定め、サイトへの集客から予約申込にまでつなげていくという全体の流れを決めることができました。以前はこうした全体の戦略があいまいなまま場当たり的に施策を行っていたので、長年の悩みが解消されて、すごくスッキリしました。
また、制作していただいているコンテンツだけでなく、社内で作成している特集ページについても、CVRを上げる改善提案をしていただいてありがたく思っています。作った記事から特集に流したり、逆に特集から記事に流したりといった手法を戦略的に取り組み、点でしかなかった一つ一つの施策が少しずつ線になり始めたイメージです。
中村様:ユーザーが検索する際のカスタマージャーニーマップから作っていただけたのが、すごく良かったです。ペルソナごとに異なるキーワードを想定するという、検索に特化した細かなジャーニーマップを作るという方法に感心しました。
まず認知の低い段階での「お役立ち記事」から始まって、ユーザーの興味や関心が深まれば「ホテル情報記事」を当てていくといった流れを作っていただきました。単発でしかなかったコンテンツが、しっかりと点と点で結びつき成果につながっていくのが実感できました。
取組みが始まってからは、1ヶ月に4~5本ペースでコンテンツを制作してもらっています。制作して終わりではなく、定例ミーティングで1ヶ月の施策を振り返り、最初に立てた仮説の検証、施策の成果を見ながら打ち手の軌道修正もしています。PDCAがしっかり回っていると感じています。
――ミエルカSEOや当社の支援・サポートについてはどのようにお感じですか?
黒澤様:ミエルカSEOに関しては本当に機能が豊富で、時間があれば1日中いじっていられるほどです(笑)コンテンツづくりに欠かせない機能が充実していて、大いに役立ちます。
まだまだこれから使いこなしていくところですが、カスタマーサクセスの東(ヒガシ)さんから丁寧なレクチャーを受け、戦略に沿ってツールをどう使っていけばいいのかが、具体的に理解できるようになりました。
私は、主にキーワードのグルーピングやサジェストの調査などに使っています。このキーワード機能のアウトプットは、SEOだけでなく広告運用周りでも活用できます。ミエルカSEO導入前はGoogleキーワードプランナーを使っていましたが、今はほぼミエルカSEOだけで完結しています。
中村様:コンテンツのターゲットキーワードを決めるときや、自分で新規コンテンツを作成する際に活用しているのが、サジェスト抽出機能や、AIでタイトル案や見出し案を作ってくれる機能で、すごく便利です。
また、サイトレポート機能は、一つの画面で各ページのセッション数とコンバージョン数を見ることができ、AIが流入数とCV数の観点から改善すべきページを教えてくれる機能もあるので、改善すべきページが瞬時にわかります。この機能をさらに活用して、改善スピードをあげていきたいと考えています。
黒澤様:サポートに関しても、ツールにとどまらず施策面までアドバイスいただけるので大変満足しています。
つい先日も東さんにお世話になったのですが、旅行商品にとって「東京観光」「東京旅行」といったワードは、何とかして検索上位表示を獲得したい重要キーワードです。そこでトピッククラスター化*できないものかと考え、ミエルカSEOを使いながら、現状分析から改善提案までサポートいただきました。
それをもとにマーケターさんに記事作成を依頼し、4月から順次アップし始めています。その結果、「東京観光」のキーワードは44位前後だったところから、現在6位まで上昇できており、いい連携が取れていて非常にうれしいです。(2024年5月現在)
トピッククラスターとは:
軸となるメインコンテンツ(ピラーコンテンツ)と、それらを補足するサブコンテンツ(クラスターコンテンツ)を内部リンクで親子関係にする施策のこと。
筋の通った施策により、対策前後でマイクロコンバージョン率2.3倍もの差が
――こうしたマーケターとツールの両輪での取り組みの結果、成果の部分ではどのような変化があったでしょうか?
黒澤様:これまで約1年にわたって支援をいただき、半年で約30本のコンテンツを公開しました。マーケターさんに作ってもらったコンテンツと、それ以前に制作したものを比較すると、マイクロコンバージョン率が2.3倍も高いという結果がでています。
中村様:マイクロコンバージョン率だけでなく、狙ったキーワードでしっかりと検索上位表示を獲得できている点も、非常に満足しています。コンテンツマーケティングにおいて重要な「集客」と、そこからの「成果」と両方で実績がついてきました。
黒澤様:データとして結果が明確に出ているのもあり、今回プロフェッショナル人材を活用し、しっかり戦略を立てて実践してきたことが少しずつ実を結びつつあると実感しています。
SEO施策としての成果はもちろんですが、売上につながるかどうかという、一段高い目線で支援いただけていることにも感謝しています。目的や意図が明確かつ納得できる状態で施策が進むので、提案してもらえるのがいつも楽しみです。
この取り組みを継続していくことで、今後もさらなる売上拡大につながっていくと期待を持てますね。
事業成長につながるマーケティングをプロ人材とツールの活用で目指していく
――貴社では人材とツールを上手く活用し成果を出されていますが、同じマーケティング組織の方に向けて、アドバイスがあればお願いします。
黒澤様:我々と同様に、戦略から考えたい・見直したいと考えている企業はもちろん、オウンドメディアなどをゼロベースから立ち上げたいという企業様は人材活用を検討してみてもよいのではないでしょうか。プロに伴走してもらうことで着実にマーケティングの成果を出していけると思います。
中村様:あとは、すべてをプロに丸投げするのではなく、内製化も視野に入れた社内メンバーの課題発見力や改善力の向上も図りたい企業はツールの活用は合うと思います。自社のサイトや商品・サービスに関わるマーケティングですから、社員自身のスキルアップにもつなげたい企業は多いのではないでしょうか。
――ありがとうございます。最後に、今後弊社へ期待することも教えていただけますか?
黒澤様:期待するのは、SEO領域に限らず、お客様の満足や売上の拡大につながる提案です。先日も、ゴールデンウィークが終わったタイミングで、来年はこんな特集を企画してはどうかと提案してくださいました。ビジネス貢献できるかの視点を持った上でどんなコンテンツを準備していくのかを考えてくださるので、心強く感じています。
旅行ビジネスに関わる我々にとって、GWや秋、冬、春などシーズン毎に拡販の“ヤマ”を作ることは非常に重要です。社内だけでは、どうしても似たり寄ったりの企画や施策になってしまいがちなので、客観的な視点からどんどん提案やアドバイスをいただきたいですね。
中村様:コンテンツマーケティングは記事だけでなく、SNSや動画などの広い意味でのコンテンツを含めた取り組みが必要ですが、まだまだ対応できていない部分があります。こうした部分の強化でも、Faber Companyさんからの力添えに期待しています。
また、将来の内製化や『びゅうトラベル』の商品認知・販促強化に関しても、今まで以上に幅広く支援していただきたいと思います。
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