「紙→Webへ、変革の道筋を示してくれた」。約30人の出版社が外部人材のメソッドを導入し、新たなビジネス領域の拡張に成功。
株式会社メディアソフト
「我々に足りない部分を外部人材が埋めてくれた」――。
そう振り返るのは、株式会社メディアソフトの倉永一郎氏。
同社は、パズル雑誌・コミックス単行本などを販売する約30人の出版社で、2020年に初めてWebメディアに挑戦した。「オトナライフ」は、iPhoneやandroidなどスマートフォンにまつわるハウツー系のコンテンツを軸に発信を行うメディア。速報・ニュース系のコンテンツを軸に2018年にスタートしたが、2年弱もの間低迷していた。
そんな状況を変えたのがWebマーケター専門のマッチングサービス「ミエルカコネクト」だった。人手不足や知識不足を解消するため、外部人材の活用を決断。ミエルカコネクトから派遣された関氏との取り組みの結果、売上は約24倍にまで成長し、Webメディア単体での黒字化にも成功している。
「SEOやWebサイト運営のノウハウは何一つなかった」という倉永氏。
どのようにサイトを伸ばしてきたのか。責任者として立ち上げから関わる倉永氏やサポートを担当したFaber Companyの喜屋武に伺った。
紙媒体との違いに苦戦する出版社発のWebメディア。2年以上黒字化できなかった
メディアソフトは、1999年創業し、パズル誌・コミックス単行本・エンタテインメント誌等を発行する出版社。これまでに電子コミックは展開してきたが、Webメディアの運営は初めての試みだった。立ち上げの背景を倉永氏は下記のように語る。
だが倉永氏は、「紙からWebに移行する、いいきっかけ」と捉えた。倉永氏はインターネット黎明期にPC雑誌を創刊した経験があり、その後もスマホやPC関連の書籍に携わっているため、日ごろから付き合いのあるライターや編集プロダクションもいる。そこで、スマホやガジェットを軸にしたメディアを立ち上げることにしたという。
会社によっては、初期投資として一気にリソースを投下して軌道に乗せるというやり方もある一方で、メディアソフトが取った方針は少ない予算でのスモールスタート。ある程度収益化まで長期間を見積もってスタートさせたが、厳しい状況が続いた。
出版社は書籍や雑誌を創るコンテンツ制作のプロであり、ライターへの発注などは慣れている。しかし、書籍制作とWebメディア運営では、ライターへの発注の仕方は大きく異なることが、倉永氏を悩ませた。
「予算がない×時間がない。」ないものづくしの中で、いかにWeb施策を進めるか
目立った成果が挙げられないまま2年が経とうとしていた頃、倉永氏は他部署のメンバーからの紹介でSEOツール「ミエルカ」と出会う。ミエルカの話は、SEOについての知識が浅かった倉永氏にとって発見の連続であり、可能性を感じたことから導入を決めた。
特に気に入っていたのが、「ミエルカ大学」だったという。ミエルカ大学とは、ミエルカ導入企業向けに公開しているセミナーや動画をメインとした学習コンテンツ。オンラインで視聴可能な動画を200本以上納めており、SEOやコンテンツ運用術のスキル習得に活用できる。定期的にWebマーケティング関連のノウハウセミナーも開催しており、鈴木謙一や小川卓などの専門家講師に直接質問もできる。
SEOやWebマーケティングについて学ぶことで着実に知見は積み上がっていく一方で、倉永氏自身がSEOに関する知見を高めたとしても解決することが難しい3つの課題も出てきた。
付き合いのあるライターや編集プロダクションに対し、ミエルカ大学を受講させることも考えたが、かかる時間などのコストを考慮すると非現実的。そんな時、当時のミエルカの担当者からWebマーケティング専門の人材マッチングサービス「ミエルカコネクト」を紹介された。
ミエルカコネクトが急成長の原動力に
導入をサポートしたのはミエルカコネクトの喜屋武(きゃん)。当時の状況を次のように語る。
そして紹介されたのが、フリーのマーケターとして活躍されている関和音氏。倉永氏は初回MTGの際に、驚きを覚えたという。
外部人材との取り組みが、紙→Webへの変革の道筋に。
まず関氏と進めたのは現状分析だ。関氏は当時のオトナライフの状況を振り返った。
さらに深掘りして、ドメインパワーや既存記事、自然検索からの流入状況などの分析を実施。検索流入が取れそうなキーワードを洗い出し、競合他社がどんなキーワードでコンテンツを制作しているかなども明らかにした。
過去最高のPV数、売上を達成、2年で売り上げが約24倍に
倉永氏と関氏は、
などの記事内容以外の部分についても、最適化の取り組みを進めてきた。
その結果、2022年3月時点で、関氏との取り組み開始から公開した記事の2割が検索3位以内、半数が10位以内、9割が20位以内にランクインしている。
売上に早く貢献するには、早く検索上位表示を実現しなければならない。そこでまずは、オトナライフと同等かそれ以下のドメインパワーを持つWebサイトが上位を取っているキーワード群に絞った。それらのキーワードで1つずつ検索上位を取れるよう記事作りを進めつつ、既存記事のリライトやタグの整理なども同時進行した。
すると、PV数と売上は順調に伸び、2022年1月には過去最高のPV数と売上を達成。検索表示回数はコネクト導入からわずか3か月で1.8倍にまで伸びた。倉永氏は「関さんとの取り組みがなければ出なかった数字」と手ごたえを感じている。何よりもよかったことは、Webメディア運営に関する壁打ち相手になってくれたことだという。
今後のオトナライフでは、検索ボリュームのあるキーワードにもチャレンジし「しっかり軌道に乗せて会社の売り上げに貢献できるように」と倉永氏は意気込む。また、一定の月間売上を達成した後には、これまでのノウハウを生かして新メディアの立ち上げも構想中だ。紙からWebへの移行は、出版業界にとって喫緊の課題である。メディアソフトの挑戦は、まさに出版社のデジタル化の1つの道筋を示しているのではないだろうか。
ミエルカコネクトでは今回のようにWeb上での施策が初めての方はもちろん、Webマーケティング領域におけるリソース不足・ノウハウ不足でお困りの企業さまに、多くご相談いただいております。ぜひご興味のある方はお気軽にご相談ください。
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