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化粧品ブランドがSNS活用でファン獲得4倍! 地方での専門人材確保・戦略の秘訣とは?

株式会社鈴木ハーブ研究所

鈴木ハーブ研究所様事例

今回紹介するのは、茨城県東海村にある鈴木ハーブ研究所(社員数50人)のSNS活用事例だ。同社では、以前からSNSを運用していたが、Twitterのフォロワー数は4,000人で頭打ち状態だった。ところが、1年後には4倍の1万6千人に増加しただけでなく、エンゲージメント率も3倍に高まった。この壁を乗り越える鍵になったのが、外部のハイスキル人材=フリーランスの活用によるリソースの確保だ。

現在では、運用SNSアカウントとしてInstagramやLINE公式アカウントも追加。いずれもフォロワー数、登録者数は増加中だ。そこで、鈴木ハーブ研究所 販促事業部 チーフマネージャーの滝泰彦氏と広報の長山真貴氏、外部人材としてフルリモートで施策を支援した津金澤健人氏にその取り組みを振り返ってもらった。

茨城県にある社員50人の化粧品ECサイト。SNSの運用に手詰まり。

認知獲得やファン獲得、商品購入者の増加…などSNS運用には様々なメリットがある。昨今では「ソーシャルコマース」と呼ばれる概念も注目を集めており、SNS運用とECサイトの成長は切っても切れない関係になりつつある。

※ソーシャルコマース
ECサイト(Eコマース)とソーシャルメディアを組み合わせて商品を販売することを指す。

一方で、SNSから自社の売上拡大につなげていくハードルは高い。トレンドの把握やフォロワーやファンとのコミュニケーション、そこから最終的な売上につなげるための施策など、専門的な知見や継続的かつ地道な取り組みが求められるためだ。

SNSを上手く活用したいというニーズは高まっているが、それを運用する専門人材は大きく不足している。弊社(Faber Company)では、2021年10月に企業のマーケティング担当者465名を対象に、「マーケティング担当のSNS活用実態調査」を実施した。その結果、約65%の方が、「SNS人材が足りていない」と回答している。
(調査レポート資料:https://mieruca-connect.com/knowledge/snsreport_202110/

ムダ毛ケア化粧品「パイナップル豆乳シリーズ」販売などを行う「鈴木ハーブ研究所」(茨城県東海村)もSNS人材が足りていないことに悩む企業の一つだった。

同社雨品
(同社ではパイナップル化粧品などを販売している)

抱えていた2つの大きな課題

同社が抱えていたSNS運営の課題は以下の2つ。専門人材不足が課題だった。

1.時間やリソース、教育コストの問題

SNS担当者はいるが専任ではなく、他の業務兼任だった。SNS運用だけに専念できておらず、PDCAも回っておらず思うような成果は得られていなかった。

さらに、その担当者の部署異動も重なった。残ったメンバーをゼロから教育をするためには、時間や人的リソースが割かなければならない。当然ながら、そこまで時間をかける余裕はなかった。限られた中でどのように効果・成果を出していくかに課題を感じていたという。

2.地方での採用の難しさ

できれば即戦力のSNS専任担当者を採用したいが、知見のある人材を採用するのは至難の業。IT系の専門人材は獲得競争になっており、地方企業ということもあってなかなか自社に適した人材を採用できていなかった。

これらの課題を解決するために、着目したのが「外部人材の活用」だった。

鈴木ハーブ長山様
(取材に答える同社の長山氏)

SNS運用で、外部人材を活用?_本当にうまくいくのか?

同社はなぜ外部人材の活用にたどり着いたのだろうか?
それは抱えていた課題(教育コストやリソースの限界、採用の難しさ…)を解決できそうだと予測したためだ。そして外部人材を探すにあたり、鈴木ハーブ研究所は、マッチングサービス「ミエルカコネクト」を利用した。ミエルカコネクトを運営するFaber Companyが長年企業のWebマーケティングを支援しており信頼が持てたことが導入の理由だったという。

そして迎えたのがSNSマーケターの津金澤健人氏。津金澤氏は、SNSトレンドを把握し、各SNSの特徴を理解した使い分けなどで成果をあげてきた経験豊富なマーケターである。ただし、鈴木ハーブ研究所は茨城県にあり、津金澤氏は都内在住。業務は全てリモートで実施することに、コミュニケーションやマネジメントの面で若干の不安があったという。しかし、滝チーフマネージャーは津金澤氏の豊富な経験を選ぶことにした。

鈴木ハーブ滝様
(取材に答える同社の滝チーフマネージャー)

「出社にこだわる必要はないと思っていましたし、何よりもリモートを条件にすることで出会える人物の幅が圧倒的に広がりました。特に津金澤氏のようなSNSの経験が豊富な方とはフルリモート前提でなければ出会うことは難しかったと思います。これまでの津金澤氏のノウハウを生かしてどんどん進めていただけそうな期待感がありましたので、お任せすることにしました」(滝氏)

こうして、鈴木ハーブ研究所と津金澤氏の取り組みがスタートした。

マーケターの津金澤様
<津金澤健人氏:SNSマーケター。大学在学中に教育事業を立ち上げ、SNS集客により事業を拡大。その後、法人化し取締役に就任。そこで培ったノウハウをもとに、インフルエンサープラットフォーム事業を立ち上げる。現在は、フリーランスのSNSマーケターとして、医療・美容・飲食・不動産・アパレル等、幅広い企業のWebマーケティング支援を行う>

5カ月でフォロワーが1万5千人増! SNS施策の裏側まで解説

鈴木ハーブ研究所のSNSアカウントは、Twitter、Instagram、LINEがあり、これらの運用を津金澤氏が支援。現状分析から戦略策定、投稿内容や頻度の決定、配信までをサポートした。
成果は短期間であがり、特にTwitterでは、わずか5カ月でフォロワー数が1万5千人増になったという。どのような施策が成果につながったのだろうか。

Tips1.ロードマップを描き、ゴールまでのストーリーを設計する

津金澤氏は「SNSはやみくもにやっていても伸びません。きちんと戦略設計を行い、その戦略にそった運用が肝になる」という。鈴木ハーブの支援をするにあたり、マーケティングファネルから対応するSNS施策を企画し、実行していった。

【大まかなSNS運営ロードマップ】
具体的には、次の①~③を順に実施していった。
  • 1.認知を獲得するためのTwitterキャンペーンを企画。ただキャンペーンを行うだけでは効果が薄いので、いくつかの工夫を凝らした。(後述のTips2参照)
  • 2.ブランドの好意度向上や純粋想起率を高めるため、読み物コラムやユーザーボイスをTwitterやInstagramに投稿。
  • 3. TwitterのDMやLINEメッセージなどで、ユーザーとの個別コミュニケーションを取り、関係性を築いていく
マーケティングファネル
(マーケティングファネルから対応するSNS施策を企画した)

重要な「ゴールまでのストーリー設計」

特に力を入れたのが、「ゴールまでのストーリー設計」だ。

「SNSは『結局何が理想なのか?』を明確にしないまま運用している企業が多い印象です。鈴木ハーブ研究所様のようなtoC向けの商品展開をしている企業であれば、SNSを通じて商品が売れ、その方がファンになってくれることが最も理想的な状態だと考えました。ですので、認知獲得だけでは不十分。そのゴールに向かっていくために何が必要なのか、どうユーザーに動いてもらいたいのかというストーリーを考えていきました」(津金沢氏)

そこで、TwitterとLINEをつなげていく戦略を立案。Twitterで興味をもってもらい、LINEにも登録してもらう流れをつくった。つまり、複数SNSで定期的にコミュニケーションをとり、その中でファンになってもらい、最終的には購入にもつなげていくという計画だ。
どんなSNS施策を行うにしても、最終的にはLINEに登録してもらうということに決め、導線を明確化した。津金澤氏は、「To C企業では、公式LINEをメルマガのようにして使うことは効果測定もしやすく、おすすめの施策だ」と話す。「SNS運用によって増えたLINE公式アカウント登録者数=見込み顧客リスト」と捉えると、SNSがどのくらい売上に貢献しているのかが数値として見えやすくなる。つまり、SNS運用の効果を社内に共有しやすくなるのだ。

Tips2.キャンペーン効果を最大化するための布石を打つ

取り組みの中で、大きくフォロワー数を増やしたキャンペーンがある。2021年11月末から12月に行った「年末感謝キャンペーン」だ。この取り組みについて、認知獲得のために工夫を凝らしたという。

「Twitter上では様々な企業がキャンペーンを実施しています。気をつけて欲しいのが、ただキャンペーンをすればいいわけでは無いという点です。認知を獲得する前のキャンペーンでは、ユーザーが自社商品について知らないところからスタートします。認知が増えていかない(エンゲージが低い)というケースも多いです。そうした問題を解決するために活用したのが、有名人が出演する動画です。」(津金沢氏)

鈴木ハーブ研究所では、女優でフィギュアスケーターの本田望結さんを起用したCMを放送していた。そこで、このCMと商品説明を記載したツイートをTwitterアカウントの固定ツイート*に設定。キャンペーンからTwitterプロフィールに訪れた人が、この固定ツイートを見ることで、一目でどんな会社なのかがわかるようにした。

*投稿したツイートをTwitterプロフィールページの上部にピン留めできる機能。

鈴木ハーブ様Twitter施策
(実際のツイート:Twitterリンク

また、認知を獲得するためのSNSキャンペーンとして流行している「ギフト券」を活用した。

「ギフト券を使って、多くの人にツイートを届けることができました。このキャンペーンからプロフィールに来た方が先の固定ツイートを見ることで、より興味関心をもっていただく流れをつくったわけです。今回は4週間連続でキャンペーンを行い、約9,000人の新しいフォロワーさんが登録してくれたので、成功したと思っています」(津金澤氏)

この例のように、キャンペーン効果を最大化するための布石を打っていくことがTwitter運用のポイントの1つだ。さらに津金澤氏はもう1つの布石を打っていた。次のTipsで取り上げる「個別コミュニケーション」だ。これを裏の施策として重点的に行ったという。

Tips3.ユーザーと個別にコミュニケーションをとる

では、どのようにコミュニケーションをとったのだろうか。

「SNS、特にTwitterではユーザーと距離の近いアカウントにしていくことで、ファン化につなげやすいと考えています。一方的に情報を発信するだけでなく、ユーザーさんと個別にコミュニケーションを取ることを大切にしています。
例えば、キャンペーン結果を通知するときも、当選者だけでなく、落選された方にも『また次も参加してくださいね』など、きちんとお礼を伝えるようにしています。落選者にもしっかりコミュニケーションを取ることで、今回のキャンペーンだけの関係に終わらないよう、ユーザーとつながりを持ち続けようとすることが重要です」(津金澤氏)

大規模アカウントではなかなか手が回らない細やかなコミュニケーションをとることこそが、差別化や独自性を出すことにつながるのかもしれない。津金澤氏は今後も個別コミュニケーションを重要視していくという。

「ゆくゆくは、ユーザーごとにカスタマイズしたメッセージを送ることもやっていきたいですね。一斉送信するよりも“私だけに送ってくれた”というのは非常に嬉しいことだと思うので。今後も差別化を鈴木ハーブ研究所様と推進していきたいですね」(津金沢氏)

フォロワーが増えただけでなく、エンゲージメントを高めることに成功!

こうした取り組みの結果、Twitterのフォロワー数は1年で4倍に増えた。また、Twitterキャンペーン企画は総計で2万3千RT(リツイート)という反響を呼んだ。津金澤氏によると広告なしのキャンペーンでは、かなり反響数が多くとれたケースだという。

鈴木ハーブ様Twitter成果
(Twitterでの成果)

「これまでもSNS上でキャンペーンは行っていましたが、『4週間毎週違うプレゼントをしていく』などの企画はできていませんでした。思い切った企画や様々な仕掛けをほどこした結果、こうした反響を呼べたと考えています。自社のみで運用していたら身に付かない運用法などを教えていただけるので、外部の知見を取り入れることができるのは大きなメリットでした。」(滝氏)

そして同社のTwitterアカウントは、フォロワー数を伸ばしただけでなくエンゲージメントが平均12%ほどを維持するホットなアカウントに変貌している。(以前は3%前後)。

自社の担当者だけで運用を行っていた頃は、キャンペーンや各SNSでの施策がぶつ切りで、それぞれの導線やゴールを明確に意識できていたわけではなかった。そうした事前設計をしっかり行ったことが成果につながった大きな要因だ。同社の長山氏は次のように語る。

「今回の取り組みを通じて、いかに曖昧にSNSを運用していたかを痛感しました。津金澤さんのおかげではあるのですが、SNS運用のPDCAを回すことができるようになったのは弊社にとって大きな収穫です。外部の方と会社のSNSを一緒にやってうまくいくのかと不安もあったのですが、そんな不安はすぐに吹き飛びました(笑)。」(長山氏)

いまではすべてのSNSアカウント運用を外部人材に委託

現在、鈴木ハーブ研究所と津金澤氏は、「LINE公式アカウントの強化」に取り組んでいる。友達登録してくれたユーザーへキャンペーンやお知らせ、お役立ち情報などをLINE上で配信している。投稿では、画像や絵文字などをふんだんに使い、なるべく文字だけにならないよう気を配っているという。
本格的に公式LINEの運用を開始したのは2021年11月なので、まだまだ発展途上。今はまだ明かすことはできない様々な施策を水面下で仕込んでいるという。

鈴木ハーブ様LINE施策
(LINE公式アカウントの強化に取り組んでいる)

当初、津金澤氏に依頼していたのは、Twitterとインスタグラムの運用のみだったが、前述の成果やその信頼もあり、全SNSアカウントの運用をサポートしてもらうことにしたという。トータルでSNS戦略を考えていくことで、各SNSの統一感もでて、投稿内容なども連動させると、ブランドの世界観も出しやすい。

「津金澤さんがされていること全てが学びになっています。特に私は個人的なSNSをやっていないので、いろいろ提案していただけることは勉強になります。それに加えて、SNSは次から次へと新しい手法が出てくるものなので、その情報収集についても津金澤さんに先頭を走っていただいていることが本当にありがたいです。」(滝氏)

「広告から購入いただくことが厳しい時代になっているので、SNS経由で購入者を増やしたいとずっと思っていました。それが実現しつつあるのは津金澤さんのおかげです。
ただ、現状には満足していません。購入して終わるのでなく、購入後の使い方の解説、効果実感の口コミなどアフターフォローまできちんと行えるようなSNSアカウントに育てていきたいと思っています。 」(長山氏)

最後に、津金澤氏は今後の展望について以下のように語った。

「鈴木ハーブ研究所様の商品は、(私自身が)ムダ毛ケアに悩んでいた学生時代に使用していました。実際に使用していたブランドのSNS戦略に携われたことは非常に嬉しい出来事でしたし、よい商品を世の中に広めるお手伝いができたことはマーケターとして大きな喜びでした。SNSはトレンドにどれだけ乗っていけるかが重要です。しっかりキャッチアップしながら、随時新しい取り組みを一緒に進めていきたいと思います。」(津金澤氏)

▼本文内でご紹介したSNSの実態調査レポートのダウンロードはこちら
https://mieruca-connect.com/knowledge/snsreport_202110/

またこちらの記事は「Web担当者Forum」で紹介されたものから、さらに未公開ストーリーを加えて公開しました。
▼Web担当者Forumで掲載された記事はこちら
https://webtan.impress.co.jp/e/2022/04/13/42560

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