マーケティングDXとは?成功の5つのポイントと3つの成功事例をご紹介
目次
マーケティングDXとは
マーケティングDXは企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるための施策の一つになります。
ここで、DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、情報処理推進機構のDX白書2021の定義によると、
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、 顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
とされています。デジタル技術を導入していくことで、企業変革を行っていくこととも言い換えられます。
マーケティングDXは広告宣伝や市場調査などのマーケティングに関わる事柄についてデジタル技術を用いることで、マーケティング業務を変革し競争上の優位性を確立していくものです。
マーケティングDXとデジタルマーケティングの違い
マーケティングDXと似たような言葉でデジタルマーケティングというものがあります。これらの違いについて解説していきます。
デジタルマーケティングは「デジタル技術を利用したマーケティングの手法や戦略」のことです。例えば、SNS広告や、Web広告といった広告の利用や、コンテンツマーケティング、SEO、電子データを活用したマーケティングなどがあります。MAツール(マーケティングオートメーションツール)やCRM(顧客関係管理システム)を使った施策もデジタルマーケティングに含まれます。
一方で、マーケティングDXは「デジタル技術を用いることにより、マーケティングの業務に変革をもたらすこと」を指します。大事なことは目的がマーケティング業務の変革にあることです。デジタルマーケティングはマーケティングDXを実現するための一つの手段です。
デジタルマーケティングを行うだけではマーケティングDXを達成することができるとは限らないということには注意が必要です。
マーケティングに変革をもたらすには、マーケティング業務の全体を俯瞰して見て、アナログなマーケティング戦略の強みも生かしながら、デジタル技術を導入すべきところに適切に導入していくことが大切になります。
マーケティングDXの課題
DX人材の不足
マーケティングDXが難しい大きな原因の一つが人材不足です。
マーケティングDXを行うためには、まずは企業のマーケティングそのものを理解していることが求められます。その上で、デジタルマーケティングやITツールを必要である箇所に適切に導入をしていかなければなりません。組織として動かすために社内外の巻き込みも求められるミッションです。一朝一夕では育成することはできず、採用をするにしても簡単にできるものではありません。
<h3>DXを行う手段が目的化してしまう</h3>
マーケティングDXが進まない要因として、ITツール導入などの手段が目的になってしまうことがあります。
一部の業務や部署だけの変革だけではマーケティングDXはうまくいかず、会社全体の体制を変革していく必要があります。マーケティング部などの一部だけでDXを進めようとすると、部分最適になる傾向があるため、全社を巻き込んだプロジェクトを行うことが大切です。
業務の複雑化
マーケティングDXでは新たにITツールを導入することにより業務が複雑化してしまう可能性があります。
例えば、紙媒体で管理していた契約書をクラウドサービスで管理するような変更を行う場合、他のデータは依然として紙媒体で管理を続けるというケースがあります。社員は二つの管理システムを併用することになり業務がかえって複雑になってしまいます。
業務をよりよくするという目的でITツールを導入したのに、かえって業務が煩雑になってしまっては本末転倒です。そのため、マーケティングDXを行う際には、既存の業務と相性がよく使いやすいITツールを導入するなどして業務が複雑にならないようにすることが大切といえます。
マーケティングDXの成功のための5つのポイント
1.経営トップによるコミットメント
繰り返しにはなりますが、マーケティングDXはマーケティングの業務に変革をもたらすことです。経営層の理解を完全に得ないまま、一部の部署のメンバーがマーケティングDXを推進すると、部分的な対策になってしまうことが多いです。
また、マーケティングDXの成功には、ITツールの導入など一定のコストがかかるため、経営層の理解を得てマーケティングDXへの投資をしてもらわなければなりません。時にはマーケティング部の成果は出やすくなるが、営業部が出にくくなるというような状態にもなることがあります。
ビジネスを変革するために、従来の企業体質を根本から変えることが求められるため、マーケティングDXを推進するためには、経営層がマーケティングDXの必要性を理解することが大切です。トップに立つ人間がマーケティング全体を俯瞰して捉えつつ、経営層がトップダウンで取り組んでいくことが成功のポイントです。
2.目的の明確化と共有
会社の規模感などにもよりますが、まずは3年〜10年スパンでの外部環境を分析した上で、自社の経営方針を描くことが大切です。未来の分析のためには、PEST分析、3C分析といったフレームワークを使うと良いでしょう。
また、顧客数や売上利益などをどう改善・向上させていくのかという計画も引きます。その計画を実現するための一つがマーケティングDXです。
また、マーケティングDXを推進するフェーズでは、社員全員に対して目的を伝えて理解してもらうことが必要です。ITツールなどを導入するのは経営層やプロジェクトメンバーですが、実際に使うのは社員です。マーケティングDXを導入する前に「なぜ導入するのか」「どの業務をするのか」などを全社に向けて発信して、事前に認識をもってもらう必要があります。
またKPIを設定することも大切です。何をどれくらい改善したのかが見える化されることで、PDCAが回せてマーケティングDXの精度も高められるでしょう。
3.使いやすいITツールの導入
実際にITツールを導入しても、社員がITツールを使いこなせなければ意味がありません。どんなに機能が良いITツールを導入しても、ITツールに馴染みがない社員や苦手意識がある社員は使いこなせない可能性があります。
マニュアルを用意することも一つの解決手段ですが、まずはITツールを使うのが苦手な社員でも使いやすいITツールを選定し導入することがポイントになります。ツールを提供している会社にトライアルでの利用をお願いし、数人の現場メンバーに使ってもらうなどのステップを踏むことをおすすめします。
4.データを活用した顧客体験のアップデート
繰り返しにはなりますが、マーケティングDXの目的はITツールの導入や業務にデータを活用することではありません。データやIT技術を取り入れ活用する目的として、業務が削減されて本来の業務により多くの時間を使えるようにするだけではなく、顧客の理解を高めて商品・サービスの利便性を向上させることによる、顧客体験のアップデートを行うこともあります。
この顧客体験のアップデートにつながっているかという観点も常に持ち続けることが、結果的に集客における価値を向上させ、売上利益といった指標にも反映されていくでしょう。
5.ノウハウのある外部パートナーの活用
必要に応じて外部パートナーへの依頼や連携をすることも大切です。企業に変革をもたらすためには、自社にノウハウがないようなシステムやツールの導入をする必要もでてきます。
導入するシステムの例としては、顧客管理のためのCRMツール、営業管理のためのSFAツール、データ基盤としてのBIツールなどが挙げられます。社内にマーケティングのノウハウがない場合は導入に時間がかかったり、せっかく導入したのに失敗に至ってしまうリスクもあります。
そうならないために、最初から外部パートナーを巻き込んでプロジェクトを推進することをおすすめします。費用はかかりますが、迅速に実現できるようになることで、社内のメンバーだけで行ったときの人件費と、外部へ依頼したときにかかったコストを比べると大きな差がないこともあります。加えて、プロの専門家が行うことで精度高い施策を実行でき、マーケティングDXによる効果も高くなるでしょう。
マーケティングDXの事例
コカコーラ:Coke on
コカコーラ社が提供するモバイルアプリ「Coke On」はマーケティングDXの成功事例として知られています。
アプリと対応する自動販売機を接続することによりポイントが溜まり、15ポイント貯めると1本無料になるという、ITを活用したロイヤルティプログラムを実現することに成功しました。また、アプリを利用して無料チケットを配信し、自動販売機で受け取ることができるという仕組みを作ることができ、これにより、小売店との協力をすることなしに自社完結でのサンプリングを行うことが可能になりました。購入履歴や位置情報などのデータから効果的なターゲティングもできるようになっています。
このように、アプリというIT技術を利用することでマーケティングの業務に大きな変革をもたらしたことは、まさにマーケティングDXの成功事例といえます。
JTB:JAPAN Trip Navigator
JTBがナビタイムジャパンと共同開発した、日本を訪れる外国人観光客向けのプラットフォームである「JAPAN Trip Navigator」もマーケティングDXの成功事例になります。
JAPAN Trip Navigatorは、マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」を基盤として活用し、JTBが持つ豊富な観光情報やナビタイムジャパンのアプリ開発技術や移動経路情報を生かした、英語によるAssistant(Chatbot)によるガイド機能や、100通り以上の観光モデルプランの提供、さらに自分だけの観光プランを作成できる機能があり、訪日外国人旅行者のユーザー体験の向上につながりました。
さらに、アプリで得られた訪日外国人旅行者の移動データ、嗜好データなどを収集分析することも可能です。そのため、訪日外国人旅行者の誘客に課題を持つ自治体やインバウンドビジネスに対して課題を持つ企業への支援を行うといった、新たなターゲットへのアプローチができるようになりました。
キヤノンマーケティングジャパン
キヤノンマーケティングジャパンは、お客様の課題解決のために製品やサービスを組み合わせる、ソリューション指向のビジネスが拡大し、取り扱う商品や販売チャネルが急増している中でマーケティングDXに取り組んだ企業です。
拡大に伴って業務が複雑化していく中で、「UiPath」を導入することによって、2019年までに100件ほどの業務の自動化を行い、年間32,000時間の業務の効率化に成功しました。それによって、早朝勤務の削減や、定型業務におけるヒューマンエラーの解消など業務体制の大幅な変革を実現しました。
また、「UiPath」の導入で培ったノウハウを顧客向けのソリューションに活用していくことで新たなビジネスに広げることもできました。
マーケティングのDX推進なら【ミエルカコネクト】
ここまで、マーケティングDXの課題や成功に導くポイント、成功事例を解説しました。
マーケティングDXで行う業務は多岐に渡り、実行する人材に求められるスキルも多くあります。
ミエルカコネクトではマーケティングDXの戦略立案ができる人材、実際のITツール導入の経験が豊富な人材など、即戦力マーケターが所属しており、相談・依頼が可能です。2005年からWebマーケティング支援を行ってきた弊社の役員が全員と面談をし、厳選したマーケターのみに絞っています。
マーケティングDXやITツールの導入でお困りでしたら、お問い合わせをいただければ無料でご相談に乗ることができますので、ぜひお声がけください。
この記事を書いた人
塩原 正隆 / Shiobara Masataka
WEBマーケティング歴7年。SEO・広告などのマーケティング施策はもちろん、事業戦略レベルからの伴走が強み。年間売上20〜30億円の事業の副部長として、WEBマーケティングや事業開発領域を統括。現在は株式会社wellyの取締役として、戦略立案、SEOメディア運営、SNS運用、EC事業の推進などに取り組む。
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