マーケティングマネジメントを徹底解説~期待できる効果と効率的な進め方~
マーケティング戦略や、今後のマーケティングの方針の作成についてお悩みではありませんか?
そのような時は「マーケティングマネジメント」の概念を取り入れることをおすすめします。マーケティングマネジメントの概念を活用することで、
- マーケティング戦略作成の土台作り
- 効果的な戦略作成
- 戦略の効率的な実行
がスムーズに進むようになります。
この記事では、マーケティングマネジメントの概要・システム・プロセスについて解説しています。マーケティング戦略を見直したい方、これからマーケティングに関わる方、外部委託を検討している方は、最後までご覧ください。
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目次
マーケティングマネジメントとは
マーケティングマネジメントとは、マーケティングの神様とも呼ばれるフィリップ・コトラーとケビン・レーン・ケラーによる著書「マーケティング・マネジメント」で提唱された概念のことです。
マーケティング戦略とは言い換えると、「顧客のニーズを見極めて、適切な価格とタイミングでサービスを提供するための計画」です。戦略を作る上では、ToDoをスケジュールするだけではもちろん足りず、数字目標を定めるだけでも足りません。
重要なことは、以下の3つです。
- マーケティング戦略において有効な指標で目標設定すること
- 戦略のPDCAを回せるように情報システムを整備すること
- 戦略の実行をするための組織体制を構築すること
これらを全て満たすことで、企業は初めて顧客について研究し、顧客に喜ばれるものを提供し、実績の評価と内部プロセスの最適化をし、企業の成長に繋がる設計をすることができるのです。上記3点を実行する上で有効な概念が「マーケティングマネジメントの3つのサブシステム」です。
マーケティングマネジメントの3つのサブシステム
マーケティングマネジメントは、以下の3つのシステムから構成されています。
- マーケティング計画と予算管理
- マーケティング情報システム
- マーケティング組織
それぞれのシステムについて解説します。
マーケティング計画と予算管理
マーケティング戦略において「計画の立案と予算管理」は重要です。
自身が経営者なのか、それとも数字を課せられたマネージャーなのか、によって考える起点が変わります。
経営者であれば、下記のような手順で考えます。
マネージャーであれば、下記のような手順で考えます。
上述の流れで考えた計画を実行可能なものにするためには、具体的な「数字目標」に分解するか、「行動目標」に落とし込むことが効果的です。
数字目標の分解は、「KPIマネジメント」の考えを活用し、最終的な数字目標をいくつかの細かい指標に分解する方法か、もしくは四半期単位で定性目標を定めて、その達成基準として定量目標を定める「OKR」の考え方を活用するのがオススメです。
上記に則って目標設定すれば、数字達成を確実なものにするだけでなく、実行メンバーのモチベーションも保てるようになりますので是非活用しましょう。
マーケティング情報システム
前述の計画を立てるためには、さまざまな情報をタイムリーに収集・分析・保管する「マーケティング情報システム」が必要です。
競合他社の動向や市場環境などの情報はもちろん、商品の販売状況やPOSデータ、顧客の調査、注文や問い合わせの処理などの内部情報も正確に収集しなければなりません。
特に優先して収集すべき情報は顧客情報です。顧客情報の収集が済んだら、商談状況や購入状況などの案件情報をそこに加えます。さらにどの経路で顧客情報を入手したか、というリード獲得情報も加えます。
ここまで情報を集めると、それらを分析することで、受注・商談化・リード転換の傾向が見えてきます。また、セールスやマーケターのパフォーマンスも見えてきます。これらの情報がマーケティング戦略のPDCAを回すための判断材料になります。
マーケティング組織
上記の計画や情報システムを円滑に運営するためには「マーケティング組織」が必要です。実行メンバーだけでなく、仕組みや評価方法も併せて設定しましょう。
組織の作り方としては、マーケティング組織を部門として作る、CMO直轄でマーケティング企画の部署を作る、期間限定であればプロジェクト方式でチームを作るなどさまざまです。
また、実行メンバーは、内部で育成する場合も、外部の専門家に依頼する場合もあります。
BtoBビジネスであれば、「THE MODEL」を採用しておけば、まず間違いありません。特に0→1の立ち上げ期時では「リード獲得→商談転換→受注→解約率」という大まかな単位の管理をして、それぞれの指標の最大化を目指せば、戦略が大きく外れることはありません。初期の刈り取りが済み、成熟期に入ると指標を細かくして、それぞれの指標を担当する部署の作成が必要となってきます。
マーケティングマネジメントの4つのプロセス
マーケティングマネジメントにはプロセスがあり、大きく4つに分けられます。この順番で実行することが重要であるため、順を追って解説します。
具体的にマーケティングの上流設計(≒戦略設計)を進めていくためには、下記のプロセスを経るとスムーズです。
- 調査分析
- STP分析
- マーケティングミックス
- マーケティングの実行・評価
1.調査分析
まず取り組むのは現状の調査分析です。自社の環境のみならず、マクロ環境や競合環境の分析も行います。代表的な手法は、以下の5つです。
分析手法はたくさんありますが、分析で明らかにしたいことは下記です。
- 最も強い競合差別化要因はなにか
- それを欲してくれる顧客は誰か
- その顧客の規模はビジネスを成り立たせる上で十分かどうか
- その差別化要因と顧客の存在に将来性はあるかどうか
- 外部要因でいなくならないか、一時的な存在である可能性はないか
上記のゴールを忘れて、調査をし続けると迷路に陥ります。
2.STP分析(市場細分化・選定・ポジショニング)
次のプロセスはSTP分析で市場を明確化します。コトラーも「STPにこそ全てのマーケティングの基本がある」と述べているほど非常に重要なプロセスです。
STPは、以下のようにセグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングの3つに分かれています。
セグメンテーション(市場細分化)
STP分析のSにあたるセグメンテーションでは、市場をさまざまな角度から「細分化」します。
市場の顧客層を年齢・性別・地域・職業・年収などで分けるほか、ニーズなど心理面や行動によっても分類可能です。
ターゲティング(市場選定)
STP分析のTであるターゲティングでは、先の細分化した結果から、自社の強みを考慮して一番有利なセグメントにターゲットを絞る「市場選定」を行います。
一度に複数のセグメントで事業展開する方法もありますが、まずは1つのセグメントに1つの製品を投入して評価をする方が容易でしょう。
また、市場選定ができたら、顧客満足度を高めることも重要です。メンバーシッププログラム等で、顧客と長期的に良好な関係を築くことで、より成功に近づくでしょう。
ポジショニング
細分化と選定ができたら、次はSTPのPである「ポジショニング」です。競争を避けて成功確率を上げたり、差別化をしたりとセグメントの中で独自のポジショニングを行うことが重要です。
また、競争上のポジションに応じた戦略も必要となります。マーケットシェアのトップ・2番手・独自展開、それぞれで戦略が異なることも覚えておきましょう。
マーケティングミックス
STP分析ができたら、次は4P分析を用いて「マーケティングミックス」を行います。製品やサービスを設定したポジションに合わせて、4Pそれぞれの視点で具体的に施策に落とし込みます。その際、ポジショニングと4Pそれぞれの視点で矛盾がないか注意しましょう。
- 製品(Product)
- 価格(Price)
- 流通・場所(Place)
- 販売促進(Promotion)
製品
ターゲットにはどのような製品が合うのかを考えます。ニーズを満たすことはもちろん、競合他社にはない機能を付与するなど、いかに差別化できるかが重要です。
価格
どのような価格帯にするかを考えます。高過ぎるのも避けたいですが、安ければ良いわけではありません。ブランディングを考慮して、あえて高い価格設定をすることで成功した事例もあります。
また、買い切り型かサブスクなのか、支払い方法など価格に関するさまざまな項目も検討が必要です。
流通・場所
製品と価格を決定したら、次は製品をどのようにして顧客に届けるかを考えます。
店舗を出店・仲介業者に流通を委託・オンラインのみで提供など、さまざまな選択肢があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
商品や顧客層によっては、コンビニやスーパーで手軽に購入できるようにすべきですし、コストを抑えたいならオンライン限定販売が適しているでしょう。
いずれにせよ、顧客が欲しいと思った時にすぐに提供できる流通を考える必要があります。
販売促進
製品を顧客に認知・購入してもらうための方法で、8つのプロセスに分かれます。
- 標的視聴者の明確化
- コミュニケーションの目的を決める
- 何を・どうやって・誰が発信するか決める
- チャネル選択(コミュニケーションの媒体や方法を決める)
- 予算を設定する
- 複数のチャネルの組み合わせを決める(イベント・CM・DMなど)
- 実行後の効果測定
- 統合型マーケティングコミュニケーションに発展させる
マーケティングマネジメントの4つのプロセスを順に実施していれば、「1~3」までは自ずと決まっているはずです。そのため、「発信したいターゲットがそこに存在するかどうか」という基準でチャネルを選択すると、意思決定が楽ですし、外しません。逆にこういった手順を踏まずに、いきなりチャネルや施策の検討から始めてしまうと、基本的に勘で施策を選ぶことになりますから、うまくいきません。
マーケティングの実行・評価
マーケティングは、上記のプロセスを実行して終わりではありません。
売上げ目標の達成状況だけでなく、市場シェア・他社との比較・効率性など評価して、改善点をピックアップし修正することで、今後の自社マーケティングに活用できるでしょう。
マーケティングマネジメントを外部委託するメリット
マーケティングマネジメントの全てを自社で行う必要はありません。コトラーも著書で「限られた経営資源の中で自社の得意とするプロセスを強化し、それ以外はアウトソースすることで、価値を飛躍的に高めることができる」と述べています。
マーケティングのノウハウがない場合やリソースが足りない場合は、アウトソースが適しているといえるでしょう。そこで、マーケティングマネジメントを外部委託するメリットを以下に挙げます。
自社にないスキルを活用できる
外部委託する一番のメリットは、自社にはノウハウがない施策も実施できることでしょう。近年のマーケティングでは、SEOをはじめ、SNS運用・LP・バナー制作・オウンドメディア運営など、専門性を要するスキルが増えています。
また、新規顧客獲得には、新たな広告手法を用いる必要に迫られるでしょう。このような場合は、外部委託が最適です。
自社ですべてカバーできれば良いですが、中小企業などでは難しい場合も多いため、外部委託のメリットは大きいでしょう。
コア業務に注力できる
マーケティング部署が少人数であると、人的リソースも限られてしまいます。
その一方で、テクノロジーの進化でタッチポイントが増加したことで、マーケティング業務は多様化し、コア業務が十分に取り組めないケースもあるのではないでしょうか。
単純作業などのノンコア業務を外部委託することで、社員はコア業務に注力できるはずです。
PDCAの高速化
プロセスの項目で上述した通り、マーケティングは実行だけでなく評価と修正も重要ですが、そのためにはPDCAを回す必要があります。
社員と外部委託で役割分担することで、PDCAを早く回すことができるでしょう。
コスト削減
一時的に業務が増える場合などでは、新たに社員を採用するよりは、期間限定で外部委託する方が人件費を抑えられます。
また、外部委託に社員向けの研修をしてもらうことで、社員の育成もでき、採用経費も削減できるでしょう。
まとめ
この記事では、マーケティングマネジメントの概要と併せて、外部委託をするメリットも解説しました。
マーケティングマネジメントでは、まずシステムの構築が必要です。そのうえで、プロセスの順番を追って、最適な方法で実行していきましょう。
また、すべてのプロセスを自社で行う必要はありません。社内にノウハウがない場合やリソース不足であれば、外部委託をするメリットは十分にあります。
マーケティングマネジメントを適切に行うことで、企業は飛躍的に成長するはずです。ぜひ活用していきましょう。
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この記事を書いた人
石坂 拓也 / Ishizaka Takuya
Webマーケティング会社・大手Web広告代理店・事業会社などを経験し、マーケティング責任者や事業責任者として活躍。その後、フリーランスのマーケターとして独立。マーケティング戦略や事業戦略策定の支援を行いながら、マーケティング支援企業の執行役員も務める。現在は、主にBtoBマーケティングの戦略設計から実行支援までを行う。
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