EC運営の人材に求められるスキルと育成に欠かせないポイント
EC運営の最終目標は「売上」をあげること。そのために「訪問数」「購入率」「客単価」の向上を目指しますが、各方面において専門的なノウハウは欠かせません。
社内に技術と経験値を蓄えるために、EC人材の育成を考えてはみるものの…「どうやって育成するか分からない」「育成するより委託したほうが効率的では?」とお悩みの方も多いですよね。今回はEC運営に必要なスキルと、EC人材の育成で注意すべきポイントをご紹介します。
目次
EC人材が担う業務の全体
EC運営にはさまざまな業務があります。まずは業務の全体を整理しておきましょう。
画像引用:ECサイト運営とは?業務内容や必要なスキルも含めて徹底解説!
EC業務は「フロントエンド」と「バックエンド」の2種類があります。事業規模が大きいと、各業務の専門チームを構成して役割分担できますが、少数精鋭であれば、ひとり何役もこなします。
これからEC未経験者を育成するのであれば、最初はバックエンド業務から入るのがオススメ。
ユーザと接する機会が多いバックエンドは、ユーザの要望や悩みを肌で体感できます。リアルなユーザ像を知ることができれば、フロントエンド業務における商品企画(UX)やサイト制作(UI)においても有利になります。
EC人材に求められる運営スキル
フロントエンド・バックエンドどちらの業務を行うにしても、EC運営を担う責任者は次のスキルが求められます。
- ITリテラシー
- 商品企画
- Webマーケティング
- コミュニケーション力
ひとつずつ詳しく解説します。
ITリテラシー
ECサイトを構築できるプラットフォームは、次の5つがあります。
どのタイプのプラットフォームで運用するにしても、メンテナンスを行うためにHTMLとCSS、JavaScriptの知識は最低限ほしいところです。
ECサイトは、管理画面の設定で構築できるカートASPやECモールからスタートしますが、事業拡大するにつれてより高機能なパッケージやクラウドECへ移行するのが一般的です。カートや決済、ログイン、領収書発行などの機能を開発するためには、PHPやSQLなどのサーバーサイド言語は欠かせません。開発担当者とコミュニケーションを取るために、知識を備えておくと有利でしょう。
商品企画
コロナ禍でECの市場規模が拡大した反面、新規参入も増え競争は激しくなりました。ありきたりな型番商品やサービスを販売しても、価格競争におちいり「売っても儲からない」ケースは珍しくありません。EC事業でライバルに勝つには、商品・サービスに付加価値をつけ顧客満足度をあげることが求められます。
商品企画のアイデアは、成功企業から学び応用する方法や、既存顧客の要望を参考にする方法などがあります。いずれにしても日々アンテナをはり、アイデアを学ぶ姿勢が大切です。
Webマーケティング
ECサイトは、実店舗のように「立地の優位性」で集客はできません。ECサイトを構築しただけでは認知されないため、次の施策で集客を行います。
- ネット広告(リスティング広告など)
- SEO(自然語検索)
- SNS(twitter、instagramなど)
- アフィリエイト
- メルマガ
最も即効性を期待できるのはネット広告ですが、費用対効果を高めるには検証・分析や
入札単価のノウハウは不可欠。SEOは上位表示させるためのコンテンツ制作やサイト管理が必要ですし、SNSはエンゲージメントを高めるノウハウは欠かせません。
Webマーケティングは専門性が高いため、アウトソーシングする企業も多いです。ただし、成果を正しく評価するにも、自社の知見は高めておくのが理想です。
コミュニケーション力
事業規模が小さいうちはコミュニケーションを円滑にとれますが、規模が拡大するにつれて情報伝達が複雑になり、ミスが増えやすくなります。ミスはユーザ評価を落としクレームにつながりかねません。
チーム内のコミュニケーションを潤滑にするために、会話しやすい環境づくりに努めること。そして作業手順や在庫マニュアルを用意し、手順を統一させることも大切です。
EC運営の人材が慢性的な人手不足である4つの理由
EC事業を加速させたい企業は増えていますが、即戦力になる人材は慢性的に不足しています。理由を4つ解説します。
1.EC市場の拡大で求人倍率が高くなっている
人手不足の最大の理由は、EC市場の成長率にあります。経済産業省の調査(令和3年度)によると、物販系ECは前年比108%という結果でした。
画像引用:令和3年度電子商取引に関する市場調査報告書
EC市場の拡大は10年以上前から続いており、業界は常に慢性的な人手不足となっています。アパレル・ファッション業界を例にあげると、求人倍率は全体をとおして低下していますが、EC・通販関連では144%と高く推移しています。(2020年12月~2021年2月)
画像引用:<2021年3月アパレル・ファッション業界「業界動向」>オンラインショッピング急増で、「EC」関連の求人が過去最高
これまで実店舗が主力だった業界においても、コロナ禍によってEC参入が進みました。EC人材の転職市場は、将来的にも「買い手市場」が続くと予想されます。
2.即戦力になるEC人材は転職市場に流れにくい
EC業務に求められるスキルはたくさんあり、マスターするまで数年はかかります。ただし企業によってプラットフォームやシステムが異なるため、転職しても即戦力になりづらい側面があります。
長い年月をかけてEC運営責任者となった人材は、転職することで年収ダウンする恐れがあります。新たに習得すべきスキルも加わるため、現職によほど不満がない限り転職にいたりません。
3.業務が多忙で離職率が高い・定着率が低い
EC運営の熟練者はなかなか転職しませんが、一方で若年層の離職率は高い傾向にあります。
画像引用:IT・通信 インターネット関連(EC/ASP/ポータル)
マイナビエージェントの調査によると、EC人材の転職経験回数は1回〜3回で9割を占めます。とりわけ20代~30代の定着率が低い傾向にあります。
画像引用:IT・通信 インターネット関連(EC/ASP/ポータル)
EC業界の年収は全業界の平均より低いですが、「IT・通信」系の業種にかぎると上位第3番目の平均年収であるため、深刻な低収入ではありません。にもかかわらず定着率が低いのは、年収と業務量が見合っていない不満の現れかもしれません。
4.EC業務が独立・専門化し始めている
ECシステムは、ソフトウエアや機能が陳腐化するため、数年サイクルでリニューアルを行います。システムが変わるたびに新機能を覚えて業務に落とし込むことは必要ですが…。EC運営は少人数精鋭で忙しく、習得に時間を投じる暇がなかなかありません。
マーケティングのような専門性が高い業務においては習得まで長い月日がかかります。変化の激しいEC業界において、悠長な時間への投資はリスクでもあるため、専門分野はアウトソーシングが主流になりつつあります。
EC人材を育成するメリットとデメリット
EC人材が不足している現状において、戦力となる社員の育成は有効な手段です。EC人材を育成するメリット・デメリットを見ていきましょう。
EC人材を育成するメリット
- ノウハウを社内に蓄積できる
- EC事業の成長を加速させられる
- 中長期的な視点でコストを抑えられる
EC人材を育成する最大のメリットは、「ノウハウ」を企業資産として蓄えられることです。EC業務をアウトソーシングすれば即戦力を期待できますが、将来的にインハウスへ転換したくても、ノウハウがないため困難になります。
例えば新しくギフト系のシェアを取る目標を立てたなら、ギフトラッピングやメッセージカードなどの付加価値をつける必要があります。アウトソーシングだと対応が難しかったり、オプションが割高になったりして柔軟に対応できないことも。EC事業を成長させるには、柔軟性と機動力が大切であり、育成こそが最適解とも言えるでしょう。
EC人材を育成するデメリット
- 即戦力になるまで時間とコストがかかる
- 習得した技術が陳腐化することがある
- 育成した社員が辞めるリスクがある
EC人材の育成の最大のデメリットは、一人前に育つまでに長い年月がかかることです。ECサイトの規模や業務範囲にもよりますが、3年〜5年は見ておいたほうが良いでしょう。
また、システムが変われば、習得したノウハウが使い物にならない恐れもあります。加えて人材の定着率が低ければ、経営的にもリスクと感じざるを得ません。中長期的な目標から逆算して、最も利回りが良い投資方法を見つけることが大切です。
成果をすぐに出したいならフリーランス・副業人材を活用する
人材育成したいけど…「人件費の負担が心配」、「経営が苦しいから今すぐ成果を出したい」と悩む方も多いと思います。人材育成はノウハウが資産となる一方、すぐに即戦力にならないため、予算に余裕がないと難しいですよね。アウトソーシングは有力な選択肢ですが、その中でもクラウドソーシングが注目されています。
クラウドソーシングを活用することで、EC運営やWebマーケティングなどの第一線で活躍するフリーランサーや副業人材へ委託ができます。即戦力を期待することができ、かつプロジェクト単位で委託できるため、人件費負担の悩みからも解放されます。
ミエルカコネクトならEC運営の即戦力の紹介が可能
「ミエルカコネクト」はWebマーケティング専門の業務委託マッチングサービスです。EC事業の成功を左右するのは何より「集客」であり、売上・成果を出すことに長けた人材をマッチングし紹介が可能です。EC運営に参画してもらうことや、遠隔で社内育成のコンサルティングなど要望に応じて対応できます。EC運営で即戦力となるチーム作りにお悩みの方は、まずはご相談ください。
まとめ
人材育成は大きな投資ですが、定着率を改善させない限り「穴の空いたバケツに水を入れる」リスクもあります。それでもノウハウの蓄積は資産となってEC事業の糧になることは間違いありません。業務に応じてアウトソーシングを取り入れて生産性を高めていきましょう。
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この記事を書いた人
鈴木 恵也 / Suzuki Keiya
Webマーケター兼EC店長。ECの企画・運営に携わり10年目。ギフト系商品開発、Web集客(SEO・広告)を得意とし、5年目で年商20倍にアップさせた経験あり。傍ら複数のメディアサイトを運営し2年目で180万/PVを達成。農業を志して国内外の大農地(100ha~)を耕した経験などがある。
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