EC人材不足を解消するには?確保方法と失敗しない外部人材の選び方

「ECサイトの運営を任せられる人材が社内にいないのだけどどう確保したらいい?」
「EC人材を採用する上でチェックすべきポイントは?」
ECサイト運営において、集客力や売上を上げていくには、EC業務に深い知見を持つEC人材が必要です。しかし、中々優秀なEC人材を確保することができずに困っている方も少なくありません。
そこでこの記事では、EC人材を確保する方法の紹介やEC人材に求められるスキル、即戦力となる外部パートナーの選び方についても紹介します。自社ECサイトを運営する人材の確保にお困りの方は参考にしてください。
目次
EC人材を確保する方法3選
EC業務を担える人材が社内にいない場合、EC人材の確保にどのような選択肢があるかを解説します。
(1)自社での採用活動
自社での採用活動は、企業文化に合った人材を確保できるというメリットがあります。また、採用活動を通じて、自社の価値観を共有し、長期的に成長を支える人材を選ぶことができます。
しかし、採用活動には時間とコストがかかります。求人広告や面接に必要な時間、採用後の教育や研修に伴うリソースの投入が必要です。また、採用活動に失敗した場合、再度採用活動を行う必要があり、労力がかかります。
確保方法としては、求人広告や業界特化型の採用イベント、SNSを活用することが重要です。ターゲットを明確にし、自社の魅力を伝えることが成功の鍵です。
(2)社内人材の育成
EC人材を社内で育成する場合、採用コストを節約できるだけでなく、社内文化を既に理解しており会社に対するロイヤリティも高い社員であるため、長期的な貢献が期待できるのがメリットです。
しかし、EC運営には様々な知識・スキル・ノウハウが必要なことから、知識等の浅い社員が即戦力として活躍できるようになるには一定の期間が必要であり、育成のための研修や外部セミナーへの参加などコストもかかるため、総じて社内人材を育成することは難しいといえるでしょう。
確保方法としては、定期的な研修やメンター制度を導入して実践的なスキルを学ばせるのが有効です。また、社内でのキャリアパスを明確にしてモチベーションを高めることも重要です。
(3)外部人材の活用
外部人材を活用するメリットは、即戦力を確保できることです。
EC運営代行サービスやフリーランスを活用することで、専門性の高い知識やノウハウを持った人材を確保でき、特定のプロジェクトにすぐに対応することができます。さらに、業界の最新トレンドに詳しい外部の専門家を活用することで、新しい視点や知識を得ることができます。他にも、期間での契約となるため、途中で離職のリスクがないのもメリットでしょう。
しかし、外部人材はコストが高くかかる場合があるため、予算に応じた選定が求められます。また、長期的な安定性には欠ける場合があり、企業文化にフィットしないこともあります。EC業務を代行してもらうだけでなく、コンサルティングも依頼したいと検討中の方はこちらの記事もご覧ください。
☑参考:ECコンサルおすすめ9選 | 選び方のポイントと費用相場を解説
EC運営の人材が慢性的な人手不足である4つの理由
EC事業を加速させたい企業は増えていますが、即戦力になる人材は慢性的に不足しています。理由を4つ解説します。
(1)EC市場の急速な拡大に人材供給が追いついていない
人手不足の最大の理由は、EC市場の成長率にあります。経済産業省の調査(令和3年度)によると、物販系ECは前年比108%という結果でした。
画像引用:「令和3年度電子商取引に関する市場調査報告書」経済産業省( 令和4年8月) ![]()
EC市場の拡大は10年以上前から続いており、業界全体として慢性的な人手不足となっています。
アパレル・ファッション業界を例にあげると、パーソルキャリア株式会社の転職お役立ち情報記事では、EC市場の右肩上がりの成長に伴い、EC関連職種の採用も増加傾向にあると述べられています。
“求人は継続して増加しています。業績好調に伴う増員が依然多いですが、採用が追いつかず社内の部署異動で体制を整えた企業が、規模拡大に伴い、いよいよ経験のあるプロを迎えたいというケースも増えています。そのため、運営スタッフよりも戦略や設計などができる上流の経験を持つ人材のニーズがより高まっています。”
参照・引用:「パーソルキャリア株式会社の転職お役立ち情報記事『アパレル・ファッション業界×転職市場 2023年振り返りと2024年の展望~事業責任者×マネージャー座談会』
これまで実店舗が主力だった業界においても、コロナ禍を契機にECへの参入が加速しました。このEC市場の拡大と企業の積極的なEC展開により、今後もEC分野における優秀な人材の不足はますます深刻化していくと予想されます。
(2)即戦力になるEC人材は転職市場に流れにくい
EC業務に求められるスキルはたくさんあり、マスターするまで数年はかかります。ただし企業によってプラットフォームやシステムが異なるため、転職しても即戦力になりづらい側面があります。
長い年月をかけてEC運営責任者となった人材は、転職することで年収ダウンする恐れがあります。新たに習得すべきスキルも加わるため、現職によほど不満がない限り転職にいたりません。
(3)EC運営の業務範囲が広く、多くの人手が必要
ECサイト運営、商品の登録や在庫管理、注文処理、顧客対応といった日常的な業務に加え、商品ページの改善やSEO対策、広告運用、SNSでの情報発信など、デジタルマーケティング領域まで幅広く対応しなければなりません。
さらに、季節ごとのキャンペーンやセールの企画・実施、特集ページの制作、物流業者との調整なども定期的に発生します。こうした多岐にわたる業務を少人数で回すケースが多く、すべての業務を高いクオリティでこなすのが難しいことや、1人あたりの負担が非常に大きくなりやすいことが課題となっており、人材不足がさらに深刻化する要因となっています。
(4)EC業務が独立・専門化し始めている
ECシステムは、ソフトウエアや機能が陳腐化するため、数年サイクルでリニューアルを行います。システムが変わるたびに新機能を覚えて業務に落とし込むことは必要ですが…。EC運営は少人数精鋭で忙しく、習得に時間を投じる暇がなかなかありません。
マーケティングのような専門性が高い業務においては習得まで長い月日がかかります。変化の激しいEC業界において、悠長な時間への投資はリスクでもあるため、専門分野はアウトソーシングが主流になりつつあります。
EC人材が担う業務の全体
EC運営にはさまざまな業務があります。まずは業務の全体を整理しておきましょう。
EC業務は「フロントエンド」と「バックエンド」の2種類があります。事業規模が大きいと、各業務の専門チームを構成して役割分担できますが、少数精鋭であれば、ひとり何役もこなします。
これからEC未経験者を育成するのであれば、最初はバックエンド業務から入るのがオススメ。
ユーザと接する機会が多いバックエンドは、ユーザの要望や悩みを肌で体感できます。リアルなユーザ像を知ることができれば、フロントエンド業務における商品企画(UX)やサイト制作(UI)においても有利になります。
EC事業の立ち上げに関しては次の記事をぜひご覧ください。
☑参考:EC事業の立ち上げ方法と費用・失敗しないコツを解説
☑参考:ECサイトの立ち上げはいくら必要?費用相場や内訳、代行時の注意点まで徹底解説!
EC人材に求められるスキル
EC市場の拡大に伴い、ECサイトを運営する企業からEC人材へのニーズが年々高まっています。EC人材に求められるスキルは以下の8つです。
(1)ECサイト制作・運営スキル
EC人材にはECサイト制作とECサイト運営スキルが求められます。効果的にECサイトを制作・運営していくためには、基本的なECサイトの運営スキルだけでは十分ではありません。ターゲットが何に魅力を感じるかを考えるマーケティング思考やユーザー体験を考慮したUI/UXデザイン、商品をより魅力的に見せるためのビジュアルデザインスキルが不可欠です。
(2)商品企画スキル
コロナ禍でECの市場規模が拡大した反面、新規参入も増え競争は激しくなりました。ありきたりな型番商品やサービスを販売しても、価格競争におちいり「売っても儲からない」ケースは珍しくありません。EC事業でライバルに勝つには、商品・サービスに付加価値をつけ顧客満足度をあげることが求められます。
商品企画のアイデアは、成功企業から学び応用する方法や、既存顧客の要望を参考にする方法などがあります。いずれにしても日々アンテナをはり、アイデアを学ぶ姿勢が大切です。
(3)データ収集・分析スキル
より効果的なマーケティング戦略や商品戦略を立てるには、データ収集・分析スキルも不可欠です。EC事業を成長させるためには、以下のツールを使って適切にデータ分析し、施策へとつなげていくことが重要です。
- Google Analytics 4(GA4)
- Google Search Console(GSC)
- Googleタグマネージャー
- Looker Studio
- ヒートマップツール など
(4)Webマーケティングスキル
ECサイトは、実店舗のように「立地の優位性」で集客はできません。ECサイトを構築しただけでは認知されないため、次の施策で集客を行います。
- ネット広告(リスティング広告など)
- SEO(自然語検索)
- SNS(X、instagramなど)
- アフィリエイト
- メルマガ
最も即効性を期待できるのはネット広告ですが、費用対効果を高めるには検証・分析や入札単価のノウハウは不可欠。SEOは上位表示させるためのコンテンツ制作やサイト管理が必要ですし、SNSはエンゲージメントを高めるノウハウは欠かせません。
Webマーケティングは専門性が高いため、アウトソーシングする企業も多いです。ただし、成果を正しく評価するにも、自社の知見は高めておくのが理想です。
ECサイトで押さえておくべきSEO対策については次の記事をご覧ください。
☑参考:ECサイトのSEO対策 ショップ運営に欠かせないWeb集客5つのポイント
(5)ITリテラシー
ECサイトを構築できるプラットフォームは、次の5つがあります。
どのタイプのプラットフォームで運用するにしても、メンテナンスを行うためにHTMLとCSS、JavaScriptの知識は最低限ほしいところです。
ECサイトは、管理画面の設定で構築できるカートASPやECモールからスタートしますが、事業拡大するにつれてより高機能なパッケージやクラウドECへ移行するのが一般的です。カートや決済、ログイン、領収書発行などの機能を開発するためには、PHPやSQLなどのサーバーサイド言語は欠かせません。開発担当者とコミュニケーションを取るために、知識を備えておくと有利でしょう。
(6)コミュニケーションスキル
事業規模が小さいうちはコミュニケーションを円滑にとれますが、規模が拡大するにつれて情報伝達が複雑になり、ミスが増えやすくなります。ミスはユーザ評価を落とし、クレームにつながりかねません。
チーム内のコミュニケーションを潤滑にするために、会話しやすい環境づくりに努めること。そして作業手順や在庫マニュアルを用意し、手順を統一させることも大切です。
(7)マネジメントスキル
EC人材にはECサイトを効率よく管理するためのマネジメントスキルも必要です。EC人材は同部署の社員や他部署の社員、外注先などECサイトの運営に関わるメンバーと連携を取る場面も多くあります。携わるメンバーや在庫管理など全体を把握し、目標を設定するなどマネジメントを適切に行うことで連携もスムーズになり、相乗効果を発揮してECサイト運営の成功の確率を高めることができます。
(8)トレンド収集スキル
EC業界は流行り廃りが激しく常に進化しているため、ECサイトの競争優位性を保つには最新のトレンドに対応していくことが重要です。
トレンド収集スキルを上げるためには、業界のニュースやメディア、SNSやインフルエンサー、競合サイトの動向をチェックしておくだけでなく、Googleトレンド・キーワード分析などのツールを活用するのも効果的です。
EC外部人材の選び方
採用や育成は長期的にコストがかかるため、優秀な外部人材を活用しながら、少しづつ採用や育成を進めるのがおすすめです。次に外部人材の選び方について解説します。自社ECサイトの課題をEC人材と協力して解決していきましょう。
(1)業務範囲を明確にした上で自社に適している人材を選ぶ
ECサイト運営を任せる外部人材を選ぶ前に、依頼したい業務範囲を明確にしましょう。どのような業務を依頼するのかによって、必要なスキルセットが異なるためです。
たとえば、商品ページの更新や商品データの管理を担当してもらいたい場合、HTMLやCSSの基本的な知識が必要になるでしょう。一方で、マーケティング施策の実施や広告運用を依頼する場合、SEOやPPC広告の知識、データ分析スキルが求められます。
外部人材を選ぶ前にどんな業務を依頼したいのかを明確化することで適切な外部人材の候補を絞り込むことができます。
(2)経験や実績が豊富にある人材を選ぶ
依頼したい業務範囲の経験や実績が豊富な外部人材を選ぶことも大事なポイントです。ECサイトは業界や扱っている商材、規模、自社型ECサイトかモール型ECサイトなどによっても大きくノウハウや必要なスキルが異なるため、自社のECサイトと同類・同系統のECサイトの経験があることは大きな安心材料となります。逆に、経験や実績が少ない人材に依頼すると、期待したような成果に繋がらず余計に費用がかかってしまうことになるので注意してください。
(3)予算や契約条件がマッチしている人材を選ぶ
外部人材を選ぶ際には、予算と契約条件が自社に適していることが非常に重要です。予算内で必要なスキルを持ち、成果を最大化できる人材を選ぶためには、業務内容を明確にし、優先順位をつけることが大切です。
契約条件については、報酬体系や業務範囲、納期、支払い条件などの事項を詳細に決めておくことで、後々のトラブルを避けることができます。特に報酬体系(時間単価、固定料金、成果報酬など)や業務の進行方法について合意しておくことが重要です。
このように予算や契約条件に合致する外部人材を選ぶことで、コストを抑えつつ、効率的にプロジェクトを進めることができ、結果的により良い成果を得ることが可能になります。
EC人材に関してよくある質問
最後に、EC人材に関してよくある質問を見てみましょう。
Q:EC業界で求められる人材とは?
EC業界で求められる人材は、デジタルマーケティングやデータ分析、デザインなどのスキルを持ち、業務の効率化や最適化を実現できる人材です。特に、データ分析能力やSEO、コンバージョン率向上に関する知識が重要です。また、ECサイトの運営や顧客対応の経験があり、ユーザー体験を重視したクリエイティブな発想を持つことが求められます。さらに、迅速に変化する業界に対応する柔軟性も大切です。
Q:EC業界の仕事内容は?
EC業界の仕事内容は多岐にわたります。主に、ECサイトの運営・管理、マーケティング戦略の実行、データ分析による改善提案などが含まれます。また、顧客サポートやロジスティクス管理、商品企画・仕入れも重要な役割です。全体として、売上向上と顧客満足を追求する業務であり、マーケティングから商品配送まで一貫して関わることが求められます。
優秀なEC人材を確保するなら「ミエルカコネクト」
この記事では、EC人材を確保するための方法を中心に、EC人材が不足している理由やEC人材が担う業務内容、EC人材に求められるスキルについて解説しました。また、ECの外部人材を選ぶ際のポイントも紹介しました。
「ミエルカコネクト」はWebマーケティング専門の業務委託マッチングサービスです。EC事業の成功を左右するのは何よりECサイトの制作・運営のスキルやノウハウ、知見、経験を持ったプロフェッショナルの存在です。ECサイト間の競争が激化する中、競合他社と差別化して魅力的なECサイトを運営し、売上アップを考えているなら「ミエルカコネクト」にご相談ください。